ベネッセ教育総合研究所
特集 大学広報の今、これから
伊藤 文男 氏
武蔵野大学入試センター
課長補佐
伊藤 文男 氏
小宮山 均 氏
東京工科大学広報課
課長
小宮山 均 氏
福川 敏機 氏
芝浦工業大学入試課
入試アドバイザー
福川 敏機 氏
千葉  吉裕
京都精華大学
大学事務局長
福岡 正藏 氏
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座談会
これからの大学広報に求められるもの
学生の満足度を上げ、その中身を学生とともに発信する広報を
流れができつつある、ホームページからの資料請求(伊藤)

司会(編集部)  最初にそれぞれの大学における広報の現状についてお聞かせください。
伊藤 これまで受験生から一番多くのアクセスがあったのは、いわゆる受験情報誌などの紙媒体でした。そこで大学の紹介をし、レスポンスを受けて名簿を集め、大学のパンフレットを送って受験に結びつけるというのが今までの一般的なパターンでした。しかし今は、インターネットで検索し、大学のホームページから資料請求をするという流れができつつあります。
 ただ本学の場合、今年度は紙媒体を通した請求が昨年度よりも5割ほど増えています。薬学部設置や、全学部の共学化が影響しているのかもしれませんが、原因は現在分析中です。ですから、やり方によっては紙媒体もまだまだ広報ツールとして発展させていける可能性があるのではないかと思っています。
小宮山 本学でも、紙媒体から電子媒体への移行がかなり進んでいます。しかし受験生は紙媒体を見ていないわけではありません。受験情報誌を見て資料請求する場合も、その媒体についているはがきを使うのではなく、ネット上からの請求に変わってきています。それが一番大きな流れになりつつあるのではないでしょうか。
 電子媒体への移行ということに関して、ホームページの充実はもちろんですが、メールマガジンも有効です。本学では、ネットなどを通してアドレスを記入してくれた受験生を主な対象に月に2回、PC版と携帯版のメールマガジンを発行しています。
 ここでは単に一方通行の情報を流すのではなく、アンケートに答えてもらったり、学生が作ったペイントソフトを使ったコンテストを行うなど、できるだけ受験生に参加してもらうインタラクティブな形をとっています。このような双方向の電子媒体を利用することで、受験生の動向を把握する取り組みを始めたところです。
福川 本学では紙媒体の充実に力を入れています。本学のような工学系の大学は学科が細分化されていて、その名称からは内容がわかりにくく、学科選択のミスマッチが起こりがちです。そこで、それぞれの学科に所属する教員の専門分野や研究内容を紹介するガイドブックを作っています。高校教員からも「進路指導に役立つ」と大変喜んでもらえています。
 また、主として高校1、2年生を対象に「IA」という広報誌も作っています。工学の面白さ、楽しさを伝えるもので、高校生の関心の裾野を広げようというものです。
福岡 紙媒体か電子媒体かという視点から外れますが、どの大学でも毎年、出願直前まで何のアプローチもしてこなかったのに、急に出願してくる受験生がいますね。最近、予備校では大学生のチューターが増えているようですが、そのようなチューターの影響が大きくなっているのではないかと考えています。
 というのは、予備校では出願直前にチューターが受験生との最終面談を行いますが、そこで志望変更を含む最終受験校が決められているのではないかと思っているからです。彼らは高校教員や保護者よりも、受験生にとって頼りになる存在かもしれません。
小宮山 本学でも予備校のチューターをしている学生がいますが、そこで東京工科大学はいいと宣伝してくれているようです(笑)。これこそが何にも勝る広報手段なのかもしれませんね。


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