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Interview
アメリカ留学の現状と留学アドバイザーの役割 |
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日米教育委員会は日米間の相互理解を促進することを目的とした日米両国政府出資による公的機関である。フルブライト奨学金の運営のほか、アメリカの留学に関する情報提供と相談サービスを行う国内唯一の公的機関だ。
留学希望者への説明会や個人相談会のほか、大学などの留学相談担当者のための説明会を全国5カ所(札幌、名古屋、京都、福岡、那覇)で開催。東京のオフィスでは、留学に関する参考資料を揃え、個人や団体からの問い合わせにも応じる。問い合わせ件数はインターネットアクセスも含めると年間約38万件を超えるという。留学アドバイザー、笹田千鶴氏に話を聞いた。
―現在のアメリカの留学生受け入れ体制は?
笹田 「9・11(同時多発テロ事件)」の影響で、2003年8月からアメリカの非移民ビザ取得希望者に対して面接を課すなど、ビザ発行の審査が強化されました。これは、国土安全保障省が国の安全を確保するために行ったものです。ビザ申請の手続きが煩雑になり、今後も各種の変更が予想されるため、日本の大学の留学担当者も常に最新の情報を収集するなどの配慮が必要でしょう。
しかし、国務省は今後も留学生を積極的に受け入れるという方針を変えてはいません。日本人学生のビザ申請も、以前よりも時間がかかるものの、(現時点では)審査が厳しくなっているとの情報は入ってきておりません。
高校卒業後の留学や大学院留学希望者が増加
―日本人のアメリカ留学の現状と留学希望者の傾向は?
笹田 現在、海外に留学している日本人は約7万6000人いますが、そのうち6割以上がアメリカに留学しています。地域別に見ると、カリフォルニア州を中心とした西海岸とニューヨークやマサチューセッツといった東海岸の州に集中する傾向にあります。コミュニティカレッジは比較的入学も容易で授業料も安いので、4年制大学への編入を考えて、西海岸のカレッジに留学する人が多いのでしょう。
学部別にみると、ビジネスや国際関係、芸術、工学、心理学など、専攻する分野は多岐にわたります。
高校卒業後、直接アメリカの大学への進学を目指す人も増えています。以前は、日本の大学への進学が厳しいと思われる高校生も多かったようですが、最近では将来的なキャリアを考え、日本の大学とも比較した上でアメリカの大学を選ぶ人が増えてきていると思われます。
大学に入学した時点から留学の情報収集を始めるなど、早めに留学計画を立てる学生も以前より増えました。
注目すべきなのは、当委員会への相談件数で、今年初めて修士や博士課程への留学希望者が、学部留学の希望者を上回ったことです。ただし、統計上は大学院に留学した人数は日本人留学生全体の2割に留まっています。社会人がキャリアのために留学を希望する傾向は強いものの、志望する大学院の入学難易度が高いため留学に至らない、あるいは留学がキャリアアップに繋がらないかもしれないというリスクを考え、断念するケースも多いのではないかと推測します。
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