ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
山内昭人
短期大学基準協会理事
(香蘭女子短大理事長)
山内昭人
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インタビュー
第三者評価は「適」「不適」「保留」の適格認定に
 学校教育法が改正され、04年度から第三者評価の実施が義務付けられた。これを受け、短期大学基準協会でも短大の第三者評価の準備を進めている。同協会理事の山内昭人氏は、互いに「質の充実・向上」を目指していけるような研鑚の機会としての評価の実現を目指したいと語る。
日本でも評価の文化を根付かせることが大切

――最初に短期大学基準協会(短大基準協会)の設立の経緯を聞かせてください。
 短大基準協会は、各短大の自己点検評価による改善を支援し、教育水準の維持向上を図るために、1994年4月の日本私立短期大学協会(日短協)の定期総会で設立が承認され、任意団体として発足しました。

――短大基準協会は現在、第三者評価の準備を進めていますが、これまでにどのようなことが決まっていますか。
 第三者評価については、03年4月に学校教育法が改正され、大学や短大は、国が認証した評価機関による評価を04年度から7年間以内に受けることが義務付けられました。短大基準協会でも02年から「協会評価委員会」を組織し、短大の第三者評価のシステムづくりに向けての議論を始めました。
 この協会評価委員会がもとになって、翌03年に、新たなメンバーを加え、約20人から成る「第三者評価機関設立準備作業委員会」が発足しました。
 しかし、去年の暮れから今年の1月にかけて、文部科学省から認証評価制度の具体的な内容が明らかにされるまで、議論が深まらず、明確な方向性を出すまでにはなかなか至りませんでした。現在は、評価基準や評価マニュアル、評価員マニュアル等の作成を急ピッチで進めているところです。

――評価の具体的な内容については、いつ頃までに明らかになる予定ですか。
 短大基準協会としては、6月中に第三者評価のシステムを完成させ、05年度から評価を実施する予定です。同時に法人格を取得するための準備も進めています。しっかりした評価ができる団体として社会的にアピールするためにも、任意団体ではなく財政的な基盤を備えた財団法人としたうえで、文科省に評価機関としての認証申請を行う予定です。

――大学基準協会などはすでにホームページで評価項目について公表していますが、ここまで時間がかかった理由は何でしょうか。
 短大基準協会でも評価項目等は発表していますが、何よりプロセスとして議論を重ねることにまず重きを置いてきたためです。例えば「第三者評価」という言葉一つとっても、メンバー一人ひとりがそれに対して描くイメージが違うため、議論がしばしば錯綜しました。これは、日本の社会では、評価することも評価を受けることも文化として根付いていないことが原因なのではないでしょうか。
 もともと日本人は風土の特徴もあり、農耕民族で、ムラ社会であるが故に「あいまいさ」が是とされてきたところがあると思うのです。第三者評価には「あいまいさ」とは対極にある「論理」と「明確さ」が必要です。これは日本人がもっとも苦手とするものですが、その苦手な部分をあえて議論しなければならないところに評価システム作りの難しさがあるのです。

――今回の評価システムはアメリカのコミュニティカレッジの事例を参考にしているようですね。
 そうです。しかしアメリカの評価システムをそのまま導入するのではなく、「日本の短大にふさわしいものであるかどうか」という観点から、独自の評価システムを策定するよう努力しているところです。
 アメリカには100年に及ぶ大学評価の歴史と成熟した評価システムがありますから、大いに参考にすべきです。しかし、それはアメリカの文化、民族的な気質に合わせて作られてきたものです。評価の文化を根付かせるためにも、日本の短大に合った評価システムを構築することが大切です。



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