ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
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改革モデルとしての地域総合科学科
多様で柔軟な履修システムが強み
課題は教職員の意識改革
 短大改革のモデルとして注目されている地域総合科学科は、「既存の教育資源を核に、地域のニーズに応える新たな専門分野や履修システムを取り込む」というコンセプトの下、14短大で16学科が開設されている。志願者の大幅増に結びついた成功例がある一方で、課題も指摘されている。
日本型コミュニティカレッジ

 「地域総合科学科」は学科の名称ではない。特定の学問領域に限定せず、学生や地域の多様なニーズに対応する新しいタイプの学科の総称で、短期大学基準協会の適格認定を受けることでこの“看板”を掲げられる。実際の学科名や教育内容は短大ごとに異なる。
 認定制度が始まった2002年には、同年度にできた1学科と03年度新設の3学科が認定を受けた。04年度には新たに12学科が加わった(図表)。同協会では、3月中旬現在で10数校から新設の相談を受けており、次年度も2桁以上の新設になりそうだ。
図表  地域総合科学科の開設状況

図表

 地域総合科学科の最大の特長は、多様な分野を取り込んだ柔軟な教育プログラムにある。「4年制大学に編入したい」「資格取得を含む職業上必要な知識や技術を学びたい」「趣味や教養を深めたい」など、様々な目的に応えるプログラムを一つの学科で提供する。そのため幅広い分野の科目が開設され、目的に応じて受講科目を選び、履修期間も選択できるカリキュラムが設定される。2年間一貫のカリキュラムのほか、半年ごとに完結するプログラムを組み合わせて複数の分野を学ぶカリキュラムにすることも可能だ。
 バラエティに富む科目を「どう組み合わせて学べばいいか分からない」という問題が生じないよう、分野ごとにパッケージ化する「フィールド&ユニット制」などのシステムを設ける短大が目立つ。例えば「心理学」「食文化」「福祉」などのフィールドを設け、その中に目指す職業や資格に必要な科目をユニットとして開設。主専攻的なフィールドの中で複数ユニットを組み合わせて学ぶほか、興味に応じて他フィールドのユニットも選択できる仕組みだ。
 地域総合科学科には社会人の積極的な受け入れが求められ、そのための具体的な仕組みも認定要件になる。短大基準協会のガイドラインには、長期履修学生制度、昼夜開講、科目等履修生制度などに加え、駅前などのサテライトキャンパスの設置も例示されている。
 このように地域総合科学科では、地域における高等教育への導入、職業教育、教養教育など幅広いニーズに対応する、新たな短大を目指している。広島文化学園理事長として三つの地域総合科学科を設けた坂田正二氏は、「高等教育のユニバーサル化に伴い短大のあり方が問われる中、日本型のコミュニティカレッジを目指す画期的な発想」と説明する。


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