ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
PAGE 15/24 前ページ次ページ


ケーススタディ
(2)上田女子短大総合文化学科
観光分野で自治体とも連携

 上田女子短大では、04年度、地域総合科学科として適格認定された総合文化学科を開設、前年度の1.6倍の志願者を集めた。
 母体の国文科は、98年度以降、志願者数が下降線をたどり、02年度に日本文化学科に改組した後もなかなか回復の兆しが見えなかった。そこで総合文化学科では、学生や高校、企業への調査などをもとに、需要の高い資格講座や学生に人気のあるテーマを取り入れたフィールド制によるカリキュラムを導入。「なりたい私をコーディネートする」をキャッチフレーズに募集活動を展開し、志願者増に結びつけた。定員にはまだ2割ほど届かないものの、「認定を受けてから3カ月という準備期間の短さを考えれば、手応えは十分」と、中西満義学科長は次年度の定員充足に期待をかける。
 同学科は、従来ある言語・観光・情報文化の3コースや、併設する幼児教育学科の科目をベースに、日本語学、日本文学、観光学、情報学、総合文化など7フィールドを設置する。地域の特性を踏まえ、特に観光分野には力を入れる考えだ。
 地元・上田市は演劇、伝統芸能などに関する文化事業ボランティアの募集や、映画のロケの誘致など観光関連事業を推進している。同短大では以前から、学生ボランティアの窓口を設けるなどこれらの活動に協力してきたが、新学科では座学だけでなくこうした事業に積極的に参加させる。行政とも密接に関わりながら、地域への理解を深めると同時に、観光産業に対する認識を高めたい考えだ。
 新たに立ち上げたブライダルフィールドは、ホテル業界への就職を視野に入れたものだ。アシスタント・ブライダル・コーディネーター、カラーコーディネーターなど、ブライダル関連の資格も正規の授業で取得を目指す。一方、資格には直結しないものの、学生の需要を見越して導入したのが表現文化フィールドだ。国文科以来の伝統を引き継ぎながら、コミックや映像、アニメーションなどの表現手法へと展開する科目を数多く組み込む。04年度の志願者の関心は、新たに取り込んだ分野のこれら二つのフィールドに集中したという。
 同学科では、入学後半年間は導入教育を行うゼミを開設。大学生活の心構えや各フィールドで学べる内容などを伝えることで、学生が描く将来像に合ったフィールド、科目が選択できるよう支援体制を整えている。
 一方、社会人学生を受け入れるためのシステムも拡充する。73年度に、地域の強い要請のもとで創設した経緯もあり、同短大は母親大学、婦人大学、公開講座と名称を変えながら、地域住民を対象とする公開講座や出前講座に力を入れてきた。その需要は今も高く、04年度からは上田市と共催で、初の夜間開講の教養講座も始める。こうした背景を生かし、同学科でも長期履修生制度、科目等履修生制度で社会人にアピールしていく考えだ。
 地域との密接なつながりをベースにしたボランティアや科目等履修生制度の導入は、地域総合科学科の方向性の一つといえよう。


PAGE 15/24 前ページ次ページ
トップへもどる
目次へもどる
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse