ベネッセ教育総合研究所
特集 チャレンジする短大
長崎短大
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REPORT 2
学生一人ひとりとの対話を重視し内定者や卒業生の相談にも応じる
 長崎短大は長崎県佐世保市にキャンパスを持ち、英語科、保育学科、食物科の3学科を設置する。毎年、就職率90%を超える高い実績から地元では「就職の長崎短大」とも呼ばれ、学生募集も好調だという。
 長崎短大の2002年度の就職率は、英語科95.6%、保育学科97.6%、食物科91.1%、03年度卒業生は3月末現在、英語科93.1%、保育学科97.9%、食物科が100%に達している。就職先は航空・運輸・旅行関連をはじめ、食品関連業や病院、福祉施設、保育所、幼稚園など、各学科で身に付けた専門性を生かすことができる企業や施設が大半を占める。学生は長崎県内出身者が6割で最も多いが、九州地方全域と沖縄県など県外の出身でUターン就職を目指す者も多い。
 「もちろん就職率100%を目指していますが、その達成のために、学生自身が納得していなかったり、入社してからミスマッチに気付くような就職先を勧めても意味がありません。個性や適性を見極め、各人の希望を踏まえた上で、『適材適所』の就職に結び付けたいと考えています」と、就職課の川久保伸一課長は言う。

携帯電話へのメール配信で、タイムリーな情報提供

 長崎短大の学生総数は約500人。小規模であるメリットを生かし、学生一人ひとりと直接向き合った指導を基本にさまざまな就職サポートを行う。
 5年前から、携帯電話を持っている学生に対しメールでの情報配信を開始。現在、全学生への配信が行われている。学生にはあらかじめ、希望する業種・職種・勤務地を登録させ、それに合った求人情報が入ると、即座に情報を送り、必要な場合は就職課を訪れるように促す。情報に対する学生からの返信もメールで行われ、具体的な就職相談や履歴書の添削などにも携帯メールを使用することがある(図表1)。
図表1  携帯電話メール配信サービス
図表
 「導入前は、学生と連絡をとるために遅くまで残って電話をかけることもありましたが、不在だったり、保護者に伝言を頼んだりすることも多く、すぐにレスポンスが得られなかった。今では情報を発信すれば数分で返信してくる学生も多く、状況に応じたタイムリーなアドバイスができるようになりました」と川久保課長。
 就職課スタッフは定期的に学生からのメールをチェックすることが日常業務になっており、「別の企業の情報が欲しい」などの要望にもすばやく対応している。長期休暇などで帰省している学生にも確実に情報を送ることができ、遠方で就職活動を行い就職課を訪れることのできない学生の悩みにも即座に応えられ、メンタルなサポートもしやすいなど、メリットは大きいという。

クラスアドバイザーが個別面談を実施

 同短大では全学科のクラスごとにクラスアドバイザーの教員を配置し、高校のホームルームにあたる時間を設けている。求人情報もアドバイザーが学生全員に伝達。必要に応じて個人面談を行い、学生の要望を聞きながらきめ細かな指導を行う。
 また、同短大は建学の精神に「茶の心」を掲げる。これは、静かに自分をみつめ、「人との和」「人を敬う心」を養うことを意味する。この精神のもと、2年間を通じて「茶道文化」を必修科目とし、茶の点前の実技指導を行う。
 授業では1人の教員が学生6〜8人の指導にあたるが、この際、近況を聞くなど、進路相談の場ともなっているという。「お茶をたしなむことは、ホスピタリティの精神、つまり相手に対する思いやりの心を養うことにもつながります。企業の面接官もこの授業に興味をもって話を聞いてくれるそうです」。


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