ベネッセ教育総合研究所
教育力の時代
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教育力の時代―FDのその先へ―
武蔵野大学教授  ガイダンス教育研究会 矢内 秋生

第5回  効率的なe-システムの導入が情報体制、授業に変化をもたらす
國學院大學
 明治時代、国学の研鑚を目的に開かれた皇典講究所を母体とする國學院大學は、日本文学、日本史学を看板に文系4学部から構成される。学生数は約9000人。18歳人口の減少など大学運営を取り巻く環境が厳しくなるなかで、120年の伝統を誇る同大学でも、4年ほど前からカリキュラムの再編など大掛かりな改革に乗り出している。その一つが、学生一人ひとりに合わせて情報をカスタマイズする「K・SMAPY(ケイ・スマッピー)」というe-システムの開発だ。
学生の入力情報に基づいて、情報をカスタマイズして送付

 國學院大學が、「K・SMAPY」を立ち上げたのは2000年度のこと。文部科学省が、補助金事業でシラバスのデータ化を推進していたことを受け、Webシラバスを導入すると同時に、学生のための包括的な情報システムの開発に着手した。現在、その機能はシラバスの閲覧や時間割の作成、履修登録といった学習計画立案ツールと、大学・教員からのお知らせ、授業教材の提供・参照、レポート提出・返却、意見交換ができるフォーラムなどコミュニケーションツールに分かれる。IDを入力することで、学生はいつでもどこからでもこれらの機能を利用できる。
 総合学生センター渋谷教務課の白川博一課長は、開発の目的をこう説明する。「学内の情報は、掲示板で学生に伝えるのが一般的ですが、必要な情報の見落としが起こりがち。そこで専攻や関心に沿って、必要な情報だけをカスタマイズして提供したいと考えたのです」。
 K・SMAPYでは、あらかじめ学生の専攻、教職など取得予定の資格、外国語コースの履修の有無など個人情報を登録する。それらの情報に基づき、必修科目が入力された一週間の時間割画面が続いて表示される。学生は、時間割から自分の履修対象となる科目の一覧を表示し、関心のあるものを選ぶ。くわしい情報が必要ならば、そこからWebシラバスを見ることもできる。希望する授業を時間割に登録すれば、自動的に履修申請が行われる仕組みだ。時間割画面からは、各科目の単位修得状況や成績の記録画面に移ることができ、履修単位の過不足も一目でわかるようになっている。
 03年度のK・SMAPYへのアクセス数は、Webシラバスの部分だけで100万件強。今年度からは学生全員に時間割機能の使用を課すこととしたため、この4月中旬現在で60万件を突破した。レポートも、03年度には6200本提出されている。


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