ベネッセ教育総合研究所
特集 リーダーシップが生きる職員組織
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緩やかに横につながる組織が理想的

――改革を推進する上で、組織というものはどうあるべきだと考えますか。
清成 事務組織でいえば、やはり縦割りの弊害をできるだけなくすことでしょう。組織を細かく分割すると縦割りが末端まで浸透して、硬直化します。そこで、本学でも係を廃止し、事務組織を大括りにしています。職員の仕事はオールラウンド型に近くなるため、全体の中で自分の仕事の意味が理解できるようになり、改革の意義や必要性を認識しやすくなるからです。

――教員組織についてはどうですか。
清成 学部横断型の組織が必要でしょうね。本学でも11の学部がそれぞれの学部だけで完全にまとまってしまっては、総合大学とは呼べません。そこで、今、学部間に橋をかけるような教育改革を行っており、その一つが「インスティテュート制」の導入です。例えば、国際日本学インスティテュートは、各学部の日本関連の講座を集めて横断的につなげることで、「日本学」というものを構成しようとしています。既設講座をまとめるだけなので人員増は不要で、学部横断型の授業は受講者にとっても刺激になるはずです。こうした学部間連携を今後もどんどん進めていきたいと思っています。

――職員組織も教員組織も、従来より柔軟なものにすることが望ましいわけですね。
清成 これからの組織は、何かコアになるような組織を中心にして、横方向につながっていかざるを得ないでしょう。すべて自分の組織で抱えるのではなく、必要に応じて外部とも連携していくような、緩やかなネットワークでつながった組織作りをめざしたいと考えています。

――人材育成という面では、どんなビジョンを持っていますか。
清成 本学は、新学部や大学院を構想する人材には事欠きません。これは総合大学としての大きな強みといっていいでしょう。また、職員については、管理職のポストは能力主義で抜擢するようにしています。とくに部長職にはできるだけ若い人材を登用しています。中堅職員については、毎年、職員採用の半数を中途採用とすることで、多様な職務経験者の割合を高めるようにしています。純血主義は組織を守るようになりますから、できるだけ外部の血を入れるようにしています。

――国立大学は法人化によってトップのリーダーシップが強化される方向ですが、私学への影響についてどう考えますか。
清成 個人的には、人間の意識がすぐに変わるとは思えませんから、それによって国立大学に急激な活性化が起きるとは考えにくいですね。私立大学とは危機意識がまったく違いますから。ですから、国立大学の動きに戦々恐々とするより、個々の大学に必要な改革を速やかに実行できるような、組織作りや環境整備に邁進すべきだと思います。


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