また、そのシステムを確実に機能させるため、本省が現場の管理職以上の職員についての人事権を掌握し、大学の事務局長にも、本省のいわゆるキャリア官僚を充ててきた。
したがって形式的には、個々の大学内での事務組織もそれ自身としてピラミッド型を構成しているが、実質的には、大学の運営ルールに関する重要事項について独自の意思決定権限を持たない組織であったといえよう。また、この構造は学長直轄の大学本部と各部局における事務組織の間の関係にも当てはまる。
法人化に伴って、本省と現場のこの関係は一変する。少なくとも国立大学法人の制度を、その趣旨に沿って運用すれば、一変するべきものである。というのは、法人化によって、給与やその他の処遇、財務・会計運営、組織設計など、経営に関する意思決定権限がほとんどすべて本省から大学側に移行するからである。
また事務職員の採用や異動、昇進に関わる人事権も学長に移行することになっており、本省からの影響は、時を経るにしたがって薄れていく。こうした変化が実際に起これば、大学現場の事務組織は、実質的にも自律的なユニットになり、自らの権限は大きくなるとともに責任もその分大きくなる。
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