ベネッセ教育総合研究所
特集 顧客・応援団としての卒業生
小久保徳子
同窓会サイトを運営する
(株)ゆびとま代表取締役
小久保徳子

(株)ゆびとまの概要
 1990年設立の有限会社を00年に株式会社化。会員制の同窓会コミュニティサイト「この指とまれ!」を運営。本社は小久保徳子社長の出身地・長崎市にあり、東京事務所は千代田区九段南。資本金2億6000万円。小久保社長は2001年の日経ウーマンオブザイヤーなどを受賞。
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【提言】
在校生や教職員と気軽に集えるネットコミュニティの可能性
 日本のほぼ全ての学校を網羅する大規模な同窓会サイト「この指とまれ!」を運営するベンチャー企業(株)ゆびとまは、大学が卒業生をネットワーク化するための情報管理システムやコミュニケーションサイトの設計も手がけている。同社の小久保徳子社長は、卒業生のネットワーク化を進める上で大切なことは、単独で囲い込むのではなく、在学生や教職員との間をフラットな関係で結びつける“コミュニティ”を構築し、参加を促すことだと指摘する。
距離を埋めるネットで“再会”と交流を支援

 大学が卒業生との関係を緊密にしたいと考える時、具体的な方策として、校友会組織を強化したり大学のイベントに招くなどの方法が考えられる。こうした働きかけをするためには、大学と卒業生とが常にコミュニケーションできる環境を整備する必要がある。そこでは、インターネットが大きな威力を発揮する。社会人になると、海外も含め活動拠点が広がるため、物理的な距離を埋められるネットワークが有効に機能するというわけだ。
 (株)ゆびとまは、インターネットを使った同窓会支援に早くから取り組んできた。有限会社だった1996年5月、「ウェブ同窓会 この指とまれ!」というサイトを立ち上げ、今では小学校から大学、各種学校まで含む全国約5万の学校を対象として、ネット上での同窓生同士のコミュニケーションをサポートしている。
 同サイトは、会員となって、自分が在籍中または卒業した学校のページに登録すると、同窓生同士でメールや掲示板などのサービスを利用でき、交流を深められる仕組みだ。会員登録は無料で、一人の会員が小・中・高などの母校にそれぞれ登録できる。卒業年次ごとに交流する従来の同窓会組織とは関係なく、個人で自由に参加できるコミュニティだ。母校のホームページにリンクが張られ、最新情報を得ながらコミュニケーションできるが、基本的に学校側は関与しない。このサイトを通じて遠く離れたかつての旧友と「再会」し、実際の同窓会が実現するケースも多いようだ。
 小久保徳子代表取締役社長は、サイト開設の狙いをこう説明する。「一言でいえば新しい出会いの場を提供したかった。時空を超えられるインターネット技術を使って、人と人のつながりを豊かにするお手伝いだと思っています」。
 同社はもともとシステムエンジニアリング会社で、企業等のシステムを開発していた。「この指とまれ!」以前にサイトビジネスの経験はない。開設のきっかけは、小久保社長がかつてのクラスメートから、同窓会の連絡の手伝いを頼まれたことだった。「その時は忙しくて協力できなかったのですが、インターネットで同窓会のページを立ち上げたら多くの人が利用するのでは、と思いました。学校という誰もが関わったことがあるコミュニティを切り口にすれば、全ての人が参加できるネットワークを作りたいという夢が実現できる、と」。
 狙いは見事に的中し、開設から8年間で登録会員280万人以上の巨大サイトに成長した。実名登録以外認めず、セキュリティや情報管理を徹底し、安心して参加できるネットワーク作りに配慮した点も評価されたようだ。

写真

「この指とまれ!」のトップ画面(http://www.yubitoma.or.jp/


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