ベネッセ教育総合研究所
特集 高等教育分野への新規参入者たち
 
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【レポート4 (株)ビジネス・ブレークスルーMBAプログラム】
衛星放送とインターネットで高い教育的効果を実現
 人材育成などを手がける(株)ビジネス・ブレークスルーは、衛星放送とインターネットを利用して海外大学のMBAが取得できるプログラムを開設している。

ビジネスシーンに合わせた豊富な事例を用意

 このプログラムは、オーストラリアのボンド大学と提携し2001年から実施しているもので、在宅で学ぶ20科目とボンド大学で実施される2回のグループワーク(各8日間)を修了すればMBAが取得できる。仕事を続けながら海外の大学のMBAが取得できるとあって人気は高く、これまでに500人以上が受講している。その実践的な教育を支えているのは、豊富なケーススタディを盛り込んだ衛星放送による授業と、双方向性を重視したeラーニングだ。
 授業は1回1時間、全15回で1科目分が完結する。内容は、教員の解説とケーススタディの映像授業を組み合わせたもので、全20科目のうち半分は同社が独自に制作。学習素材は国内のビジネスシーンに応用できるものを厳選し、現場取材によって常に新しいコンテンツが制作されている。単なる授業の中継ではなく、具体的な事例を交えて学習する点が特徴だ。

ネット上でのコミュニケーションが活発に

 受講者は、番組から必要なものを直接、あるいは録画して視聴し、 eラーニングと組み合わせて学ぶ。同社のeラーニングでは、各種教材のダウンロード、レポート提出、試験はもちろん、ディスカッションやグループワークも行える。
 ディスカッションは、指定された番組、事例、ホームページ、書籍などの内容を検討したうえで、各自の視点から分析や意見を書き込むというもの。テーマは週単位あるいは月単位で与えられ、都合のいい時間に参加することが可能だ。リアルタイムではないため、各自が調べたり考えをまとめる時間ができ、より深い議論ができる。すべて実名で行われるので、無責任な書き込みはないという。その中での教員の役割は、テーマから外れないように議論をリードしたり視点を提供したりすることである。
 グループワークでは、数人のグループをつくって与えられたテーマについて調査・議論し、30ページほどのレポートにまとめる。例えば新規事業を立ち上げるとの想定で、商品企画、価格設定、販売ルート、広告戦略など、分担を決めて戦略を策定していく。
 ディスカッションやグループワークについて、経営管理本部の伊藤泰史本部長は、「教室での議論では、特定の人に発言が偏ったり、その場限りの議論に終始してしまう傾向が強い。しかし、このシステムではだれもが十分に準備した上で発言できるので、非常に深く掘り下げた議論が可能になる」とメリットを強調する。また、議論した学生同士が集い会食をするなど、ネット以外でのコミュニケーションも広がっている。
 ビジネス・ブレークスルーでは、衛星放送を通じてビジネス全般に関する4000時間以上の番組を提供しており、会員数は1万人を超えている。番組の合間にはMBAプログラムの紹介も挿入され、視聴者が興味を持ち受講するケースも少なくないという。ホームページでは放送のサンプル画像、ディスカッション・ボードなども公開され、実際にどのような学習をするのかわかるようになっている。また、3カ月に1回行われる公開収録には視聴者以外でも参加でき、公開ディスカッションとその後の懇親会でもMBAプログラムを紹介している。
 現在、同プログラム受講者の約20%は企業からの委託研修者が占める。「これまで手がけてきた様々なビジネス研修が企業から評価され、それがMBAプログラムへの申し込みにもつながった」(伊藤本部長)と見ている。
 同社では、構造改革特区を利用した通信制の専門職大学院を05年度に開設する予定だ。名称は「ビジネス・ブレークスルー大学院大学」とし、経営学研究科を認可申請中。衛星放送やインターネットを活用し、経営やビジネス戦略などを教える。



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