ベネッセ教育総合研究所
特集 今、なぜキャリア教育か
クリストファー・プラッツ
コロンビア大学
キャリア教育センター長
クリストファー・プラッツ
Christopher Pratt


MIT(マサチューセッツ工科大学)キャリアセンター勤務を経て、2001年から現職。「起業家になれ、自分の情熱に従い、好きなことをせよ」がポリシー。
CCEホームページ
http://www.cce.columbia.edu
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【海外レポート】
自己分析を重視したキャリア支援
コロンビア大学キャリア教育センター(CCE)
 2004年で創立250周年を迎えたコロンビア大学では、約100年近く前からキャリア教育センターを設置している。キャリアカウンセリングから就職や起業のサポートまで、在学中だけでなく生涯にわたり活用できるシステムを取り入れているのが特色だ。
世界的視野を持つリーダー育成が目標

 アメリカアイビーリーグの一つ、ニューヨークにあるコロンビア大学は国内有数の名門大学だ。そのキャリア教育センター (Center for Career Education =CCE)は1906年に創設され、長い伝統を持っている。
 「キャリアは情熱と専門的知識や技術を、時間をかけて育むことによってつくり上げるものであり、それがあなたの歴史となり、物語となる」というキャリアマネジメントの理念を掲げるCCEは、単なる「就職斡旋窓口」にとどまらない幅広い活動をしている。
 アメリカの大学には、将来のキャリアについての具体的な目標を持って学ぶ学生が多い。新卒者だけではなく、働きながらキャリアアップを目指して学ぶ社会人も多く、より良いキャリアを得るための教育とサポートが大学には要求される。そんな学生たちのニーズに応えるのがCCEの役割だ。
 「国同士の連携や競争によって世界経済が成立している現代、次世代のリーダーには、世界の動向を把握し未来を予測する能力が必要とされる。コロンビア大学では単に専門職に就くための教育を提供するのではなく、明確な自己分析を経て世界的な視野を持つリーダーになれるよう、支援することを目標としている。その教育理念の下で、CCEが果たす役割は大きい」と、同センター長のクリストファー・プラッツ氏は語る。
 CCEは現在、フルタイム職員22人、大学院生アシスタント10人の計32人体制で運営されている。職員は博士号と修士号をバックグラウンドとした人が中心だ。CCE の組織は、「学部生」「大学院生」「卒業生」「起業・インターンシップ」「求人」「学内就業」の6部門に分かれており、利用者は自分のニーズに合わせて各窓口を訪れることになる。

個々の適性に応じたキャリア設計を促す

 CCEを訪れると、最初にキャリア・カウンセラーと15分程度のオリエンテーションが行われる。カウンセラーは各学生のニーズを把握し、それに見合った対策をアドバイスするが、その際に一連のチェックリストを活用して徹底的な自己分析をさせる。医師がカルテを作成する作業と同様に、それぞれの得意分野や専門技術の有無、興味や特性などの性格面を含めた分析を経て、具体的なキャリア目標を定める。「まず自分自身が何者であり、何を成し遂げたいのかを知ることが成功の秘訣」とCCEでは考えている。
 目標が定まった学生は、次に履歴書やカバーレター(就職希望理由や具体的な自己PRを記した手紙)の書き方、面接の練習など、就職活動に必要とされる具体的なテクニックについてのワークショップを受ける。もちろん、キャリア・アドバイザーから個人的にアドバイスを受けることも可能だ。
 以上のサポート内容は、学部生、大学院生、卒業生いずれの部門でも共通で、卒業しても生涯にわたりCCEを利用することが可能だ。転職によってキャリアを磨くアメリカでは、 卒業生にとってもCCEの存在は大きいといえる。

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