ベネッセ教育総合研究所
学生像を知り尽くした手配りで学習支援を強化
武蔵野大学教授
ガイダンス教育研究会
矢内秋生
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遠近法

学生像を知り尽くした手配りで学習支援を強化
どの大学にも当てはまる2、5、3の学生分布

 大学の俗説に「2、5、3の学生分布」というのがある。これは難関大学であってもユニバーサル型の大学であっても、学生の質は、「優秀な学生は2割、なんとか授業についていける学生が5割、まったくついていけない学生は3割」という説である。
 もちろんこの割合に根拠があるわけではない。単なる一般的な経験則である。従って大学の取り組みによっては、上位者の割合が増えて、下の3割はさらに2割、1割に減少することもあるだろう。だが、おおよその傾向をつかむ上で、この説には意味がある。
 学力と学生満足度を同時に上げたいという時、授業のレベルをどの層の学生に合わせるかが非常に難しい問題となる。例えば、学力を上げようと高度な授業をすれば、なんとかついてきていた学生が脱落し、全体の満足度は下がる。逆に、理解を高めるために授業での説明を丁寧にすれば、既に学力が身についている学生から不満が出る。
 あるいは、1年生対象の必修の少人数ゼミにクラス担任制を入れて指導を行うと、高校のようだと不満が出る例なども見られる。その逆だと、大学が不親切だという不満になる。
 学習スタイルを定着させるために、教材もこだわりのオーダーメード型でいくのか、お仕着せのレディーメード型でよいのか、また、学生生活を充実させるために、個別に相談に乗りながら生活指導するのか、自立的な学生として放任するかについても、どの学生層を対象とするかによって変わってくる。
 専門教育への動機付けを図るプログラムや、学習スキル、生活スキルを高めるプログラム、資格対策講座などは、一律に科目として履修を義務付けるには無理がある。
 バラけた学生のニーズと大学の教育サービスとの折り合いを上手につけたしくみを、関西国際大学の学習支援センターに見ることができる。


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