ベネッセ教育総合研究所
特集 コンペ型事業を考える
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GPシンポに高校教員も

 毎年度新たな事業を追加しているのは、どの大学にもチャンスがある多様なメニューを用意することが狙いだ。しかし、各大学がなるべく多くのプログラムで採択をと考えることで、“申請疲れ”を起こすことも予想される。文科省の担当者は「大学に過度な負担がかからないよう工夫したい」と話す。例として、21世紀COEと特色GPではヒアリングの対応者には基本的に学長を指名していたが、現代GPでは学長以外でも可としたことを挙げる。初年度の現代GPでは、ヒアリングに学長が出てくる大学の方が少なく、副学長やプログラムの担当教員による対応が目立ったという。
 一方、プログラムの増大に伴って、募集・選考側の体制は万全なのかという懸念も生じる。21世紀COEは日本学術振興会、特色GPは大学基準協会に委託している。今年度始まった現代GPと専門職GPは特色GP実施のノウハウが生かせる内容だが、基準協会は手いっぱいのため、「申請書類のフォーマットなど、協会から助言を受けながら」文科省が直に実施した。
 05年度新規分については、「大学院GPは学術振興会への委託も考えられる」(文科省)というが、他のプログラムも含めまだ正式には決まっていない。
 文科省が数を増やして力を入れる教育支援事業を、大学側はどう受け止めているのか。文科省では今秋、すべての国公私立の大学・短大・高等専門学校計約1200校を対象に、特色GPと現代GPに関するアンケートを実施。大学604校(全体の85%)、短大389校(78%)、高専57校(90%)から回答があった。
 「05年度に特色GPに申請したい」と考えているのは全体の51%で、現代GPは46%。「選定された取組は参考となる」と答えたのは、特色GPが74%、現代GPが60%。両GPについて「申請についての学内論議が組織の活性化に役立っている」と答えたのは65%、実施が「わが国の大学教育改革に役立っている」は75%となっている。
 アンケートでは、申請予定がない大学にその理由を聞くなどさらに細かい質問が設定されている。文科省では結果がまとまり次第さらに詳しく発表する予定だ。
 一方、21世紀COEや特色GPに、大学のマーケットである高校はどの程度の関心を寄せているのか。特色GPについては文科省と大学基準協会が全採択プログラムを詳しく説明した冊子を作り、全国の高校に配布している。しかし、それが現場の教員にどう活用され、生徒にどの程度情報が届いているかは把握できていない。採択プログラムのパネル展示とシンポジウムによるフォーラムも、03年は特に高校側への開催告知はしなかった。
 高校での認知を広げるため、11月中旬から東京・京都・福岡・札幌の4会場で開かれた04年のフォーラムでは、高校関係者の参加を積極的に呼びかけた。シンポでは高校教員をパネリストに加え、高校側が特色GPをどう評価しているか話してもらった。


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