ベネッセ教育総合研究所
特集 コンペ型事業を考える
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大学自ら積極的な働きかけと取り組みを

 「特色GP」の実施によって、各大学に教育への取り組みをあらためて促した効果は高く評価される。「特色GP」を通して学長のリーダーシップが発揮されるようになったということもよく聞かれる。「特色GP」は政策として一定の効果があったといえよう。しかし、せっかくの営みが社会に十分受け入れられているとはいえない。
 高校教員の過半数は「特色GPに関心を持っていない」というアンケート調査結果もある。高校の進路指導は、一人ひとりの生徒の能力や個性に合わせて最適な大学を選ぶことに重点を置いてほしい。そのためには、大学がグループを作って、共同で高校教員を対象とする「大学セミナー」を試みることも一案である。
 さらに、企業が大学を見る目を育てるためには、もっと大学の教育活動の中身を企業に伝える必要がある。「特色GP」の事例は、重要な情報源である。企業が「特色GP」に注目することで、大学を見る目が変わることになるのではないか。学生に対する企業説明会があるように、企業に対する大学説明会があってもよい。
 社会人に対しては、生涯学習時代への大学の積極的対応が、有効な情報活動になる。いずれにしても、広く社会に対して大学が開かれる必要があろう。
 文科省から働きかけを受けなければ、大学が教育に本腰を入れないということであってはならない。大学は自立的に教育の質の向上に努めることが本来のあり方である。「特色GP」は期間を限った取り組みだ。終了した後で、大学が教育に本格的に取り組むか否か、大学関係者の見識が問われる。「特色GP」によって生まれた大学教育への本格的取り組みを持続させるためには、単に認証評価機関による評価を受動的に受けるだけでは不十分である。
 今後日本の大学は、自己評価と連動した大学間相互評価システムを活用していく必要がある。「特色GP」を実施することによって、教育評価の実績をさらに積み重ねた大学基準協会は、そこでも重要な役割を担うことは間違いない。また、これから日本の大学は、教育の個性化で実績を上げなくてはならない。そのためにも「特色GP」の経験が活用されることを期待している。


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