ベネッセ教育総合研究所
教育力の時代
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教育力の時代―FDのその先へ―

第11回 全カリの英語教育の実績を専門教育に発展させる新たな挑戦
立教大学
 1997年度、立教大学は一般教育部を廃止し、新たな教養教育システムとして全学共通カリキュラム(全カリ)を開設した。その柱の一つとして掲げられたのが語学教育だ。特に英語については、1年次に集中的に必修科目を配置するなど力を入れている。こうした土台をもとに、英語と専門教育をリンクさせたプログラムの開設計画が動きだしている。
専門科目の3分の2で英語による授業実施へ

 立教大学では2006年度に経済学部と社会学部のそれぞれ一部の学科を独立させる形で、経営学部(経営学科、国際経営学科)を新設する。そのうち国際経営学科の中核に、04年度の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択された「バイリンガル・ビジネスパーソンの育成〜多層的イマージョン教育プログラム」が位置付けられている。
 このプログラムでは、国際的なビジネス環境の中で活躍できる人材の育成を目指す。4年間の一貫したカリキュラムの下、ビジネスシーンで要求される経営学の基礎知識から、企画提案、交渉といった実践能力までを身に付けさせる狙いで、専門科目のうち3分の2に及ぶ約20科目で英語による授業を取り入れる。来年度は、経済学部と社会学部で国際経営について学ぶ学生を対象に、一部を試行する予定だ。
 このプログラムを設計した理由を、経営学部設置準備室長とバイリンガル・ビジネスパーソン育成プログラム設置準備室長を兼任する白石典義社会学部長は次のように説明する。「経営学は英語圏と関わりの深い学問分野ですし、社会学部でもいくつかの授業で英語を取り入れてきた蓄積があります。97年度に導入された全学共通カリキュラムでは低年次の英語教育が一新されましたが、全カリで培った英語力を専門教育にも生かす新学部のプログラムを作りたいと考えたのです」。
 全カリは、様々な領域の科目を設定し、各学部の専任教員が授業を担当する全学的な教養教育システムだ。総合A群・B群、情報などに分類された総合教育科目と言語教育科目が二つの柱。言語科目では特に英語を重視し、1年次には言語を通じて異文化を学ぶ言語文化コース(LCC)と、英語の運用能力アップを主体としたコミュニカティブコース(COC)のどちらかを選択し、必修で週4コマを取る。入学前のプレイスメントテストによって、習熟度別に分けた30〜40人ずつのクラスが基本単位だ。
 授業の形態と手法にも工夫が凝らされている。週2コマは同じ教員が担当し、ディベートやロールプレイを集中的に行うことで運用能力の向上を図る。単年度契約で週8コマを担当する嘱託講師制度を設け、ネイティブスピーカーも積極的に登用している。教材も教員がチームを組んで独自に開発。異文化コミュニケーションのテキスト『IDENTITY』は海外でも出版されるなど評価が高い。2年次以降も「英語インテンシブ」「法律の英語」など27の自由選択科目を置いている。


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