ベネッセ教育総合研究所
キャリア教育再考
IPUコーポレーション
チーフディレクター
松高 政(まさし)
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キャリア教育再考

第5回 日々の問題解決力育成との両輪でキャリア教育を「現代の教養教育」に

大学では職業的教育を軽視

 キャリア教育は「現代的教養教育」。本誌前号の特集「今、なぜキャリア教育か」の鼎談で出た、小杉礼子氏(労働政策研究・研修機構)と藤田晃之氏(筑波大学)の言葉である。なるほど的を射た表現で、大学での学びと実社会との関係を授業の中に明示的に組み込んでいくという、教育内容と職業とのレリバンス(関連性)の重要性を指摘している。
 しかし、それがあらためて強調されるということは、これまで(今でもそうだが)、大学教員が職業的な内容を軽視あるいは蔑視する傾向があったことの裏返しであろう。
 法政大学キャリアデザイン学部設置と日本キャリアデザイン学会設立で主導的役割を担った川喜多喬教授の言葉を借りると「厳しい職業の世界を知らず、それどころか職業そのものの価値まで否定するような教育が蔓延し、それで育成された人材によって社会が繁栄するとすれば、そのような社会はおそらく異常であろう。職業訓練の意義について改めて説明しなければならない社会も、これまた異常であろう」(『人材育成論入門』法政大学出版局)。しかし残念ながら現状では、その意義をあらためて説かなくてはいけないし、そのために「今、なぜキャリア教育か」という特集が組まれ、教育と職業との関係の重要性が説かれるのだ。



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