外部評価で学内の意識を改革
―金沢工業大学では、日本経営品質賞(JQA)やJABEEなど、積極的に外部評価を受けていますが、評価を受ける意義についてはどうお考えですか。
黒田 金沢工業大学では以前から「付加価値日本一」を掲げており、その理念に沿った学生募集や教育方法の工夫、開発を行っています。その理念を全教職員が理解して取り組んでいくことが、金沢工業大学における質の向上につながると考えています。
評価を受ける意義の一つは、教職員の意識改革につなげることです。例えばJQAは職員を対象としたSD(スタッフデベロップメント)の一環として取り組んでいるものです。JQAの認証を受けるためには、活動の推進役となる職員が審査員の前段階であるセルフアセッサーの資格を取得する必要がありますが、金沢工業大学では8割以上の職員がこの資格を取りました。
日本の大学では金沢工業大学が初めての認証で、大学に対する審査方法が確立していないこともあって、評価自体はそれほど高くありませんでした。しかし評価を受けるプロセスを通して職員全員が問題意識を共有できるようになり、セクショナリズムがなくなりました。
また、JQAではPDCAサイクルがいかに機能しているかも審査されるため、繰り返し評価を受けることになります。このことが、常に学内で改革意識が保たれる要因になっているのです。
教員に対しては、教育改革の一環として、ほぼ全員をアメリカの大学に派遣し、教育事情を視察してもらいました。その結果「教育こそ最も大切」との意識が浸透し、教育に対する情熱は非常に高まりました。その結果、JABEEの認定も取れたのだと思います。
―評価は結果よりもプロセスが大切だということでしょうか。
黒田 もちろん結果も有効に利用しています。外部評価を受けることで、社会的な認知度を高めることができます。法律で課せられている認証評価は、いわば最低基準です。大学が自らの質を高めていくためには、認証評価だけでなく、様々な評価機関からの多元的な評価を受けることが大切です。
そうした第三者評価は、質の向上に役立つと同時に、「どんな特色を持った大学なのか」を広く社会にアピールすることにもつながります。つまりどういった評価機関から評価を受けるかによって、大学の個性や特色を社会に伝えることができるのです。今後も可能な限り、様々な第三者評価に挑戦していきたいと考えています。
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