多様な質を個性と認める
―高等教育の質を保証するシステムとしての第三者評価をどうご覧になりますか。また、私大協会による日本私立大学評価機構(仮称)ではどのような評価をするのですか。
大沼 個人的には、第三者評価は必要ないと一貫して考えています。アメリカのアクレディテーション制度がモデルになっていますが、大学の成立過程が日本とアメリカではまったく異なります。アメリカでは事前審査がほとんどないために、新しくできた大学を仲間に入れるべきかどうか既存の大学が評価する必要があった。しかし、日本では国が事前審査を行い、認可しなければ大学とは名乗れません。中教審でも事前審査の重要性を指摘しており、規制緩和が進んだとはいえ設置認可制度自体は存続するわけですから、この上なぜアクレディテーションが必要なのか疑問が残ります。
とはいっても、すべての大学が認証評価を受けることが法律で義務付けられた以上、文化女子大学でもきちんと対応すべく準備を進めています。
一方、私大協会の認証評価機関では、多様な質をそれぞれの個性として最大限に評価するような仕組みを作りたいと考えています。評価を行う上で最も懸念されるのは、大学の質を均一化して捉えてしまうことです。従来の大学観に基づいた評価を行えば、旧帝大など伝統的な大学こそが最もいい大学ということになってしまいます。そうした評価は、新しい大学教育の姿を模索している大学にとっては明らかにマイナスです。
評価を行うなら、互いにレベルを向上させていくようなものでなければなりません。ですから私大協会では、「特色ある教育の試み」をきちんと評価する枠組みを作っていきたいと思っています。クリエイティブな活動や今後の大学教育の可能性を伸ばすような取り組みなど、新しい大学観に基づいた第三者評価を行うことによって、加盟大学全体のレベルアップに寄与したいと考えています。
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