ベネッセ教育総合研究所
特集 教育の質をどう保証するか
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設置審との「対話」を振り返る(2)
光産業創成大学院大学

企業が学校法人を設立

 光産業創成大学院大学は、光技術分野での「起業」を目指す人たちを対象とした、後期博士課程のみの新しいタイプの独立大学院である。光関連部品のメーカーである浜松ホトニクス(株)が中心となって学校法人を設立し、2005年度、浜松市内に開設される。
 浜松ホトニクスの晝馬(ひるま)輝夫社長が抱いていた「光技術で新しいビジネスを興す人材を育てたい。それが産業の活性化につながれば」との思いが具体化されたもので、晝馬輝夫氏自身が理事長に就任している。学校法人は、浜松ホトニクスのほか、トヨタ自動車など地元の有力企業の寄付によって設立され、理事にはそれらの企業の役員が名を連ねている。
 光産業創成大学院では、企業経営や光関連技術について学びながら、実際に企業を興すとともに、技術から商品を生み出すために実験や試作を繰り返す。実験にあたっては、浜松ホトニクスの施設や機材を借り受けることができるほか、浜松ホトニクスから様々なアドバイスを受けることもできる。企業を退職して入学する場合と、在籍したまま「派遣」という形で入学する二通りを想定。設立した企業に対しては、浜松ホトニクスや派遣企業が直接出資するケースのほか、浜松ホトニクスから銀行やベンチャーキャピタルに対して資金面での協力を呼びかけることも検討している。
 このように光産業創成大学院と浜松ホトニクスとは緊密な協力関係にあり、浜松ホトニクスが直に大学院を設置・運営するという選択肢もあったはずだ。この点について、設置で中心的な役割を果たした新屋秀幸事務局長は、「新しいビジネスを生み出すためには、異分野の企業の協力も不可欠。学校法人を設立した方が、各企業の協力を得やすいと判断した」と話す。また、学校法人には各種補助金が支給されるほか、税制上も有利な扱いが受けられることから、「安定的な財務状況を保ち、教育を継続していくには優位な仕組みと考えた」という。



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