ベネッセ教育総合研究所
学生像を知り尽くした手配りで学習支援を強化
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連載の締め括りにあたって

 これまで大学の「教育力」をキーワードに、数々の優れた取り組みを取材してきたが、そこから何が見えただろう。
 まずわかったのは、どの取り組みもスタート時は教職員数人で担われている場合がほとんどだということだ。これは単科大学であろうと総合大学であろうとあまり関係ない。その後、取り組みの成果が学生の変化として見え始める頃には、大学全体の動きになっている。工学院大学の理科教室の取り組みなどは、その好例といえる。
 トップのリーダーシップについていえば、学長などが全学的な教育の取り組みのアイデアを直接示すことはあまりない。むしろ、学部長や学科長のリーダーシップによる学部や学科単位の取り組みに、優れたものが多い。
 職員が学生にアドバイス以上の教育的指導をするケースも出始め、教育を支える上での職員の力の大きさがうかがえる。その際、同志社大学の学生支援センターや山梨学院大学の学生チャレンジ制度のように、大学固有の文化や風土を教職員がどれだけ共有し、教育的な革新性を導けるかが要諦である。
 学生自身が取り組みを発展させるという側面も垣間見ることができた。通信教育課程で社会人学生が次々と新しい実習プログラムを考案する京都造形芸術大学の取り組みなどが、典型例といえよう。
 教育や研究の情報がオープンになる中で、大学の特色も見えやすくなってきた。勉学目的別に大学を選択することも格段に容易になってきた。
 これまで数十校の大学の取り組みを見聞したが、大学は時代とともに変化していくことは、否定しようがないことを実感する。


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