学生の情報の扱い方とは異なる認識を
大学が管理する個人情報には、在学生、教職員に関するものがあるが、もう一つ忘れてはならないのが、資料請求などの接触者や出願者の個人情報である。
大学に帰属し「身内」ともいえる学生や教職員であれば、万が一情報が漏洩しても、本人への伝達や対処が速やかにでき、大事に至らない可能性もある。しかし、接触者や出願者にとって、その大学は普通、入学したい大学の中の一つに過ぎない。そこから自分の個人情報が漏洩した場合、その大学に対するイメージは途端に悪くなり、志望校からはずすことも大いに考えられる。保護者や高校教員の受け止め方も同様だ。加えて社会は、大学との関係において接触者や志願者を「弱者」とみなしがちで、弱者擁護の立場からマスコミが大学の責任を厳しく追及することも考えられる。
これらの問題を未然に防ぐため、大学は、接触者や出願者の個人情報については特に慎重に扱う必要がある。では、具体的にどのような場面でどんなことに気をつければよいのか、例を挙げながら考えてみたい。
課題1 資料請求者情報の使用目的の明示
資料請求者は、住所・氏名・メールアドレスなどの個人情報を記入した上で大学に接触する。多くの大学は、請求された資料を送った後も、これらの個人情報のリストを大学の所有物と認識し、オープンキャンパスの案内状やメールマガジンなどを送付している。しかし、個人情報保護法にもとづき、このような情報の取り扱いに対してクレームが出る可能性がある。
資料請求者に対して、記入してもらう情報をどんな目的で利用するのか具体的かつわかりやすく伝えた上で、実際にその範囲内での利用に限定しなければならない。具体的にいうと、請求された資料の発送だけでなく、それ以降も、資料やメールマガジンを発信するためや、その資料請求者が最終的に出願したかどうかを調査するためにも利用する旨を明示しなければならない。
その文章例は次の通りだが、一方的に通知するだけでなく応諾を取り付ける必要がある。 |