ベネッセ教育総合研究所
特集 問われる個人情報の保護と活用法
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【現場レポート1】産能大学
Pマーク取得を機に学内意識が向上

法案の成立前から準備

 産能大学は、企業の社員教育・研修を数多く受託しているほか、社会人を対象とした通信教育にも力を入れている。プライバシーマーク(Pマーク)取得の直接のきっかけは、これらの企業や社会人からの個人情報保護に関する問い合わせが増加したことだった。これを受け、学内にきちんとした個人情報保護の体制を築くことが不可欠だと判断。2001年9月、個人情報保護に関する施策検討委員会を設置して具体的な検討を始めた。
 村山滋企画広報室長によれば、「Pマークを取得できるだけの体制を整えれば、個人情報保護法が施行されても、『本学はしっかりと対応している』と胸を張って言えるとの結論に達した」という。当時はまだ同法案成立の見通しが立っていなかったが、「成立後に対策を考えるのでは遅すぎる」と考え、02年4月に準備のための専任部署を新設し、同時に全学的プロジェクトとして「プライバシーマーク取得推進委員会」を発足させ、02年度中の取得を目指して動き出した。
 4月に「個人情報保護基本方針」を策定し、6月には個人情報統括責任者の下に全学の個人情報の保護・管理を行う組織を整備。9月には「個人情報保護基本規則」を制定した。情報の管理体制に高いレベルのセキュリティが求められることから、必要な対策を次々に講じた。具体的には、個人情報を含む書類を格納するキャビネットや机の引き出しへの鍵の取り付け、セキュリティカードなどによる執務室への出入り制限などだ。
 教職員に対しては、学内報で周知を図ると同時にeラーニングによる研修も実施。理事長以下派遣・パート職員も含めた約800人の全教職員が受講した。
 こうして03年5月、4年制大学としては日本で初めてPマークを取得した。
 学生に対しても、年度初めのガイダンスで情報セキュリティや情報モラルについての教育を行い、理解度テストを実施している。教育やテストは新入生だけでなく、全学生に対して毎年行っており、理解度が一定基準に達していない学生はネットワークにアクセスするライセンスを得られない仕組みになっている。このような教育やテストの内容は、教職員に対するものとは異なる。



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