ベネッセ教育総合研究所
特集 問われる個人情報の保護と活用法
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【現場レポート3】南山大学
現場の声を受けてISMS認定取得

学生の利便性向上が課題

 南山大学では2003年3月、名古屋と瀬戸の両キャンパスの教務システムについて、国内の大学で初めてISMSの認定を取得した。履修登録など学外からもアクセス可能なシステムを検討する中で、セキュリティを万全にする必要性に迫られたためだという。
 00年4月には瀬戸キャンパスがオープン、数理情報学部と総合政策学部が設置された。学内の各室に情報コンセントを設けて全学生にノートパソコンを貸与。教務システムに直接アクセスできる環境をつくり上げ、履修登録も各自のパソコン上でできるようになった。その後名古屋キャンパスにも同様のアクセス環境が整備された。
 この時、学外からもアクセス可能なWeb経由の接続サービスも検討したが、セキュリティ面の不安などから学内のコンセンサスを得ることができずに断念。学生は履修登録のためだけに指定の日に登校しなければならず、必ずしも使い勝手のいいシステムとは言えなかった。
 利便性向上とセキュリティ確保という課題の解決を模索する中、学内のネットワークを統括する事務システム課から「ISMSという認定があるので取得してはどうか」との提案が大学執行部に出された。丸山雅夫副学長は、「学生の利便性を第一に考えれば、外部接続を認めてセキュリティを高めるしかない。しかし、学内でゼロからシステムをつくり上げるのは大変な作業なので、ISMSの認定取得をゴールに定め、確立されたノウハウに沿って準備を進めた方が、効率がよく客観的信頼性も確保できると考えた」と語る。
 認定の内容を詳細に検討した結果、「組織全体のきちんとした意思決定システムや人的体制、意識改革が求められるなど、情報セキュリティを確保するマネジメントシステムとしては最も進んでいることがわかった。『教務システムの安全性を高めたい』という本来の目的には最適と判断した」と丸山副学長。職員からの提案を機に、全学が認定取得に向けて動き出したのである。



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