ベネッセ教育総合研究所
特集 問われる個人情報の保護と活用法
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【現場レポート5】医療法人財団 河北総合病院
「See-Plan-Do」サイクルによる運用規則を徹底
 河北総合病院は、10年前から患者のプライバシー保護に取り組み、2003年6月にはプライバシーマークを取得している。患者の診療録は、大学であれば学生の学籍簿にあたり、そこでの個人情報をどう保護し、活用できるかが問われている。その仕組みの構築には、大学としても参考になる点が多い。

医療より注意を要する個人情報の扱い

 315床の河北総合病院のほか、整形外科・耳鼻咽喉科クリニック、リハビリテーション病院、こどもケアセンター、透析センターなど様々な医療機関を擁する医療法人財団河北総合病院は、日本で2カ所しかないプライバシーマーク(Pマーク)取得病院の一つだ。個人情報保護法施行に際しても、厚生労働省のガイドラインに沿っていち早く対応を開始した。
 こうした取り組みの背景について、財団本部事務次長を兼務する同病院の篠塚功事務部長は、「個人情報の保護は基本的人権に関わる問題であり、疾患によっては医療以上に注意を払う必要がある、という理事長の強い考えのもと、組織としてプライバシーへの配慮を進めてきたことが大きい」と語る。
 95年4月、医師の説明と患者の選択に基づく医療の提供、患者への診療情報の提供、患者のプライバシーの尊重などを掲げた「私たちの病院の目標」を院内に掲示。97年10月からは、患者の権利と責任を明示した文書を全入院患者に配布し、自分の病気の告知や病状の説明を、誰に対して行ってほしいかという意思の確認も行うようにした。
 さらに00年4月には、最適な医療を提供することを目的として、患者への診療情報録の開示を始めるなど、個人情報保護法への対応につながる活動を次々に打ち出してきた。こうした取り組みの延長線上として00年8月、Pマークの取得を目指すことを決定。03年6月に取得した。
 これに先立つ98年5月には、日本の医療機関として初めて環境マネジメントシステムの国際規格ISO 14001の認証を取得。「この経験がマネジメントシステムに則って活動する組織風土を醸成し、Pマーク取得にもつながった」と、篠塚事務部長は分析する。

写真
玄関ロビーにはPマークやISO14001の認証が飾られている


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