ベネッセ教育総合研究所
特別企画  インタビュー 新課程や国立大学の日程一本化の影響
木野内 俊典
(株)ベネッセコーポレーション 高校事業部
情報本部統括責任者

木野内 俊典
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【インタビュー】05年度入試総括と06年度以降の展望(2)
新課程や国立大学の日程一本化の影響

05年度は「無風の入試」

―05年度入試は、現行の教育課程での最後の入試となりましたが、志願動向をどう捉えていますか。

木野内
 一言で表すなら、「無風の入試」だったといえます。これまで新課程入試の04年度は、浪人することを嫌って国公立大学志願者が出願に慎重になり、私立大学の併願校数が増えるなど、安全志向が顕著になりましたが、05年度入試ではそれほど大きな変動はありませんでした。生徒の自然減の分だけ志願者総数が減っただけで、ほぼ例年通りです。

―志願者に安全志向があまり見られなかったのはなぜでしょうか。

木野内
 まず、新課程といっても理科などの一部の科目を除いて内容的に大きな変更がないため、04年度であっても受験生がさほど動揺しなかったことが挙げられます。新課程では、センター試験の英語でリスニングが新たに課されますが、試行試験の結果を見た高校教員からは、「問題が易しい上、配点も少ないので点数差がつきにくく、合否を左右する要因にはなりにくい」という声をよく聞きます。
 また、新課程は現行課程よりも履修内容が少ないため、現行課程の生徒は浪人しても新課程の受験生が相手なら勝負できると考えている面もあるようです。これらの理由から、浪人することへの不安感が少なかったと思われます。

―05年度は、センター試験で英語の平均点が04年より13.6点下がりましたが、志願動向には影響しなかったのでしょうか。

木野内
 英語は文理を問わず配点の高い大学が多いため、「できなかった」と精神的なプレッシャーを感じた受験生は多かったと考えられます。とりわけ医学部系統では、難関国立大学の志望者で、二段階選抜で門前払いされることを恐れ、他の国立大学に志望を変更したり、私立大学の併願校を増やすなどの動きが見られました。しかし、5教科7科目トータルの平均点では大きな変動もなく、志願動向全体に影響を及ぼすことはなかったようです。



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