２年目の法科大学院――内外からの視線

　2004年度に開設された法科大学院68校の教育環境等について、文部科学省が調査した結果が３月下旬に発表された。18校に対し、開設時に指摘された問題点が改善できていないという留意事項が付いた。新聞が「理念と落差浮き彫り」などの見出しで報じたため、大学の間に戸惑いが広がった。
　従来、文科省は、認可時に指摘した問題点の改善状況に関する調査の結果をその大学のみに伝えていた。しかし近年、設置審査が緩やかになり、「新設の大学や学部・学科の質保証のため、事後チェックの充実を」との意識が大学設置・学校法人審議会で高まった。04年度の新設校からは、調査結果を公表することになった。
　その中で、制度スタートと重なった法科大学院にメディアの関心が集まったようだ。全体的には、「専任教員の年齢構成のかたより」「成績評価基準の明確化」「ＦＤ活動の一層の推進」に関する指摘が目立った。ある法科大学院関係者は、「認可時についた注文を１年目で解決できる大学の方が少なく、これまでも結果を公表していれば、一般の大学も同様だと分かっていたはず。法科大学院で問題続出と受け取られるような発表や報道の仕方には疑問を覚える」と話す。
　新聞によっては、正確さを欠き、制度について誤解を招きかねない記述もあった。ある記事で「14校には法学部卒業生が10人未満しかいないなど、『法曹の中核機関』という理念と大学整備の実態に落差がある」とされたが、実際の指摘は「法学既修者の受け入れが当初構想よりも著しく下回っている法科大学院が14校」だった。既修者をどの程度入学させるかは、それぞれの方針に任され、法科大学院の質を決める要因ではない。
　このような状況の中、ＨＰでコメントを出した大学もある。中央大学は、ＦＤ活動の一層の推進を求める留意事項について、改善に向けた取り組み状況を説明した上で、一部の新聞記事を引用して「誤導的」「きわめて遺憾」と指摘。成績評価基準の明確化など五つの留意事項が付いた中京大学は、すべてについて対応を完了したとして、具体的な対応内容を説明している。