特別企画 2年目の法科大学院

塚原 英治

早稲田大学大学院法務研究科教授 弁護士

塚原 英治

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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【寄稿】

法科大学院に求められていること

真摯な姿勢で学ぶ学生

 私は1997年から弁護士会でロースクール問題を担当し、04年からは早稲田大学の専任教員を務めている。本稿では、この制度について個人的な考えを述べたい。
 多くの法科大学院では「少人数・双方向」をキーワードに、従来の法学部とは異なる質の教育に取り組んでいる。学生の学習意欲は旺盛で、連日夜遅くまで予習をしているという声が聞かれる。04年度の社会人入学者は他分野での知識・経験が豊富で、鋭い意見や質問が出てくる。教員もこれに手応えを感じ、熱意に応えるべく必死に対応しているというのが、多くの大学院の現状であろう。
 04年度、私は「弁護士の役割と責任」「司法制度論」「民事弁護実務」の3科目を担当した。いずれも司法試験と直接つながる内容ではないが、学生はどの科目にも非常に熱心に取り組んだ。模擬法律相談や模擬交渉をする「民事弁護実務」は、「全科目の中で一番面白かった」と言う学生が複数いた。学生は春休みも、刑事クリニックで接見など実際の事件の弁護活動に奔走した。
 本学で前期の成績と入試成績などとの相関関係を分析したところ、法学部卒業者と他学部出身の社会人との間で成績に有意な差はなかった。以前に法律の勉強をしたことがない者で、伸びの目覚ましい者がかなりいる。


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