現代ＧＰが地域連携に果たす役割

　文部科学省は2003年度から、大学の教育における有効な取り組みを重点的に支援する事業として、「特色ある大学教育支援プログラム（特色GP）」を実施している。04年度からは「現代的教育ニーズ取組支援プログラム（現代GP）」もスタートさせた。ともに地域連携に関わるテーマが設定されているが、両者の違いについて荻上紘一教授は次のように説明する。「特色GPはそれまでに積み上げた実績を評価するものだが、現代GPは実績にはこだわらず、新規に計画するプログラムでも構わない。アイデア勝負の面があることは否めないが、組織体制などで実現可能性が担保されていることが条件」。現代GPは、これから地域連携に取り組もうとする大学でも申請できる支援措置といえる。
　03年度の現代GPでは、519件（共同申請除く。以下同）中、238件が「地域活性化への貢献」のテーマだった。半数近くが集中したため、05年度は地元密着型と広域展開型の二つのテーマに分けて募集することにした。「公立大学や小規模な私立大学の取り組みを、県全体を対象に多くのプログラムを展開している国立大学などの取り組みと一緒に審査すると、どうしても見劣りしてしまう。小さな大学の優れた取り組みにも光を当てようという狙いがあった」と言う。
　05年度も498件の申請中、地元密着型が155件、広域展開型が106件と、合わせて半数以上が地域連携のテーマに集中した。大学が地域との連携に積極的になっている背景について、「地域のニーズが大きいのではないか。特に地方では、大学設置に関して地元の貢献度が高く、大学からの還元に期待する面がある。これまでは市民講座や研究成果の提供などが主流だったが、学生が町に出て活動すれば、町が活性化するということが、次第に認識されてきたのだろう」と分析する。
　学生を町に出すことは、大学にとっても有意義なはずだ。まず、学生自身が生き生きする。地域の課題や研究テーマに触れることで、学ぶ意欲を高められるからだ。「最近の子供は受験勉強に追われ、社会と関わりを持たずに大学生になる。大学卒業でいきなり社会に放り出すのではなく、学生時代に社会を通して勉強させ、学問と社会が結びついていることを体感させる方が、教育効果という点からも望ましいのではないか」。