ＩＴを駆使して鎌倉の文化財を“復元”

　湘南工科大学は、周辺自治体などと連携して様々な研究プロジェクトを進めている。（財）神奈川県公園協会とは、大学近辺のバリアフリーマップを作成する「辻堂海浜公園プロジェクト」、障害者、高齢者、子どもにカヌーを楽しんでもらう「カヌープロジェクト」を推進。藤沢市の「くらし・まちづくり会議」とは、辻堂地区の防災マップ作成で連携している。
　「鎌倉文化財ＩＴ化プロジェクト」も、湘南工科大学の地域連携の一つ。鎌倉市の全面協力の下、ＩＴを駆使して画像による文化財の復元や展示を行う。取り組んでいるのは、ＩＴの実践的活用をテーマにする工学部システムコミュニケーション工学科の長澤可也教授の研究室。長澤教授が、2003年末に市教育委員会でＣＧやマルチメディアの技術についてプレゼンテーションしたのがきっかけで、04年度から市との正式な連携がスタートした。
　鎌倉市には、世界遺産登録を目指して、豊富な史跡を整備する計画がある。十数年前に世界遺産の候補地になって以来、遺跡の発掘を進めている。登録に向けた国内外の機運をさらに高めるため、発掘の成果を広くアピールする方法を模索していた。一方の長澤研究室では、学生が身に付けた技術を実践的に活用する機会を求めていた。両者のニーズが一致し、文化財プロジェクトが発足した。
　工学部システムコミュニケーション工学科には、１〜３年次の必修科目として、チームで特定のテーマに取り組む「ＴＰＬ（Team Project Learning）」という授業があり、各研究室で複数のプロジェクトが進行している。ゲームやデジタルコンテンツの制作に取り組んできた長澤研究室では、ＴＰＬの一環として今回のプロジェクトに取り組んでいる。