05年度ＡＯ入試・推薦入試　実施状況と新たな傾向

　2005年度入試におけるＡＯ入試の実施校数は、国立大学25校、公立大学11校、私立大学367校であった（図表１）（ベネッセコーポレーション調査、５月７日時点）。

　ＡＯ入試は、慶應義塾大学の総合政策学部と環境情報学部が90年度の開設と同時に導入したのが始まりだ。02年度から03年度にかけては、私立大学の導入が180校から321校に増え、05年度は私立の６割以上が導入している。今後は国立大学でも、06年度以降の入試で後期日程を廃止して、その募集人員をＡＯ入試に振り向けるケースが増えると予想される。
　同じ学部学科系統の大学をいくつもＡＯ入試で受験できるようになったため、一般入試と同様に大学間の人気格差が広がりつつある。05年度入試の志願倍率を見ると、私立大学では、１倍台以下は49％を占める一方、22％の大学は４倍以上の志願者を集めている（図表２）。国公立大学では、４倍以上が37％で、１倍台以下は23％にとどまり、私立大学より人気が高い。

　近年、ＡＯ入試では、学力レベルの低い入学者が増え、一般入試で入った学生との学力格差が広がっている。ＡＯ入試は、「能力、適性、意欲等を多面的、総合的に評価」（00年大学審議会答申「大学入試の改善について」）と位置付けられているが、実際は志願者の大半を合格させざるを得ない大学も多い。そのため、入学前教育やリメディアル教育を充実させて基礎学力の底上げを図る必要がある。