―今回の制度改正の狙いは何ですか。
荻上 最大の狙いは、若手教員にキャリアパスを明示してモチベーションを上げ、組織全体の活性化につなげることです。加えて、教育・研究活動が組織的かつ効果的になされるよう、責任の所在を明確にして、職の分担と連携を進めるという狙いがあります。
助手の問題は大学人にとって長年「パンドラの箱」で、結論を出すことを避けてきました。検討委員会でそれを正面から議論して具体的な制度改正に結びつけたのは、画期的なことだと思います。
―助手問題の本質とは何で、なぜそれがパンドラの箱だったのですか。
荻上 「教授及び助教授を助ける」という制度上の位置付けと実態とが異なることが、根本的な問題です。しかも、助手の位置付けの実態は分野によって様々であるため、議論しだすと収拾がつかなくなる。ある分野の人にとっての問題が、別の分野の人にはぴんとこないということもあります。共通の処方箋では対処できないため、議論を棚上げにしてきたのです。
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