―近年の大学の教養教育に疑問を感じるのは、具体的にどんな場面に遭遇した時ですか。

浦野　どんな課題にも答えは最初からあると思い込んでいる若者が多いような気がします。私どもの会社でも、新入社員に業務上の課題を与えて考えさせると、しばらくして「分からなかったので正解を教えてください」と言ってくる、という報告を現場から受けることがあって、驚きます。

―大学教育の問題が、社会につけを回している一例といえそうですね。御社では、そのような新入社員に、どうやって課題解決能力を修得させるのですか。

浦野　OJTを通して徹底的にPDCAサイクルを経験させます。課題を与え、とにかく自分で仮説を立てさせ、実際にやらせてみる。結果の検証に基づいて、仮説を修正する。このサイクルを通して自ら問題を解決できた時に、初めて仕事の達成感を味わうことができます。
　本来はみな資質がありますから、トレーニングさえ積めば、どうやったら正しい答えにたどり着けるか分かってきます。同時に、自分には社会で闘うためにどんな能力が足りないかということにも気付く。それは一人ひとり異なりますから、社内研修などで対応するのは難しい。個人による自発的な能力開発が必要で、会社は時間と資金の面で可能な限り支援します。