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（1）４年間の成長過程の自覚
本学部のどこがこれまでの大学と異なるか。第一に、学生に、学士課程の４年間計８学期間を自分が成長するプロセスとして自覚的に把握させることが挙げられる。学習・学生生活の過程を３段階に区分し、それぞれの段階における目標を以下の通り設定した。
第１学期から２年次前半の第３学期までが第１段階である。読解能力、論理的思考能力、分析力、発表能力を訓練するための、英語と日本語による基礎演習が中心的な位置に置かれ、「情報処理」「数理統計」が必修科目となっている。「Philosophy & Religion・History」「Economy & Business」「Communication」など七つのクラスターから入門科目を選択して学び、同時に外国語能力の育成に努める。
第２段階は第４学期および第５学期である。海外大学における学習と学生生活、異文化の中での生活による人間的な成長、外国語能力の向上などが、目標として設定されている。
帰国後の第６学期から第８学期が第３段階である。いずれかのクラスターに集中するか、クラスターを超えての地域研究を行う。卒業研究へとまとめ上げていく演習中心の学習である。
この段階には学習環境にも変化がある。海外大学からの１年間の短期留学生200人、北京大学・復旦大学との双学位（ダブルディグリー）制度に基づく留学生20人が、本学部３・４年次配当科目を履修し、本学部の学生と一緒に学ぶ。前者の短期留学生は63年に発足した国際部を受け継いでおり、本学部では「SP（Study
Plan）３学生」と呼ぶ。アメリカからの学生とヨーロッパ・アジアからの学生が半々である。後者の中国からの留学生は「SP４学生」と呼ぶ。
学士課程では、知識の伝達という側面に加えて、高校を卒業した青年を市民的、人間的、社会的に成熟させ、人間性を形成するという観点からの教育が必要である。本学部の教育プログラムがこれを十全に実現しているかどうかはともかく、このような視点が前提とされている。
（2）少人数による双方向学習
これまでの大規模私立大学における教育システムを改革したことも、本学部の特徴である。大教室での一方的な講義ではなく、少人数の学生と教員との双方向的学習が基本であり、豊富な予習量を前提とした議論中心の授業を展開する。さらに、学習支援システムとしてライティングセンターを設置し、アカデミックアドバイザー制度により教員と学生との距離を近くした。サポートルームでは、海外からの学生の学習・生活上の問題に対応している。
英語教育プログラムは、本学部の教員が開発し、本学が設立した（株）早稲田インターナショナルに運営を委託した。読解と聴解を中心とする「Intensive
English（English 1）」、学生４人と教員１人のグループ学習で会話能力を高める「Tutorial
English（English 2）」、文章作成能力を育成する「Academic Writing（English
3）」が基本をなし、英語力に応じたプログラムも用意されている。
日本語教育については日本語研究教育センターに委託し、特別のプログラムを開発・設置した。
（3）アジアから優秀な学生を
早稲田大学はアジア諸国の近代化に貢献してきた。本学部でもアジア重視戦略をとり、アジア地域の優秀な高校卒業者の獲得を目指している。事前に日本語を学んでいることを要件としていないので、広い範囲の学生が応募する。
今後、アジア各地域の人々にとって、日英両言語をマスターすることは重要な意味を持つ。そのため、英語で大学教育を受けることができ、日本語の習得も可能で、日本とアジアの地域研究、国際関係分野を重視するカリキュラムを持つ本学部への関心は高い。本学は今後もアジア各国を代表する大学と双学位制度の協定を結ぶ予定であり、国際教養学部はこの制度の下で学生が学ぶ場としての役割を果たす。
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