ベネッセ独自の調査・研究に基づく教育情報を発信。学校向け情報誌に掲載している教育動向や学校の実践事例、子どもや教育に関連したさまざまな調査の報告書、調査データなどを公開しています。
大学は様々な改革によって、教育の充実を図っている。生徒を送り出す高校教員は、大学の取り組みについてどのように感じているのだろうか。毎回、高校と大学との接点に関わるテーマについて各種調査のデータと、高校現場の声を紹介する。初回のテーマは入学前教育だ。
私立大の74%が実施しうち16%は拡大の方向性 ベネッセコーポレーションの高校事業部が、2005年度にAO入試を実施した大学を対象に、同年夏に行った調査のデータである。 AO入学者に入学前教育、初年次教育を実施する大学は全体の7割に上る(1)。
かつての入学前教育は、専門分野への導入が主だった。近年、AO入試の拡大に伴って学力試験を受けずに入学する学生が増え、基礎学力向上にも主眼を置く大学も多い(2)。
入学前教育の目的の「その他」では、「学習意欲の持続」を挙げる大学が多い。AO入学者の場合、合格してから入学までの期間が長いからだろう。 入学前教育を学生募集のアピール材料として捉える大学は、6割近くに上る(3)。
国公立では23%が入学前教育の拡大を考えている(4)。
一方で、学生の満足度を検証する大学は、多いとはいえない(5)。
検証しているところでは、国公立大学で75%、私立大学でも70%が、満足度が高いと受け止めている。改革は、PDCAサイクルの中で進めることが重要である。学生がどの部分を評価し、どんな改善を望んでいるかを検証し、次につなげるべきだ。