つなぐ 高校・大学 第1回 入学前教育は効果を上げ大学を評価する要因になっているか

阿部 伸

宮城県佐沼高校
進路指導部長

阿部 伸教諭

(現:宮城県仙台第一高校教諭)


宮城県佐沼高校

宮城県登米市にある県立高校。2006年に創立104年を迎える。2006年度入試では、国公立大学に74人、私立大学に延べ123人が合格。

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高校発のオピニオン
高校教員が入学前教育について自校の現状を踏まえながら語る

意欲の持続には入学前教育が有効

■入学前教育は必要か?
 本来は、私たちが、高校在学中に大学で要求される学力レベルに到達させるべきだと思う。ただし、教科学力の面で、高校での指導にはどうしても限界がある。理工系の大学・学部には、物理や生物といった高校では指導しきれない科目を入学前教育でフォローしているところがある。そういうプログラムは生徒にとって必要であり、肯定的に受け止められている。推薦入試やAO入試の枠が拡大する中、入学前教育の重要性はますます高まる。大学での学習方法やレポートの書き方などが分からない生徒も多い。現実的には、大学でのフォローが必要と思う。

■どのような面で効果的か?
 モチベーションの持続という点で、入学前教育は特に有効だ。本校では推薦入試・AO入試に力を入れており、3学期を待たずに合格が決まる生徒が少なくない。そうした生徒は入学までに緊張感が途切れがちなので、本校から課題を出し、2週間置きにレポートを提出させたこともある。大学側からも、入学前教育によって生徒の意欲を引き出してもらえるのはありがたい。高大接続の方法の一つとしても有効なプログラムだろう。

■大学に望むことは?
 入学前教育に限らず、もっと教育・研究内容の広報に力を入れていただきたい。出張講義や最先端の研究についての紹介は、生徒の探求心や知的好奇心を高める上でも非常に有効だ。現在、高校を対象に体験授業を実施する大学はあるが、そうした取り組みは、どうしても都市部の高校に偏りがちだと思う。本校のような地方の学校にも目を向けていただけるとうれしい。

図表


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