つなぐ 高校・大学 第1回 入学前教育は効果を上げ大学を評価する要因になっているか

佐橋 誠

愛知県立犬山高校
教務主任

佐橋 誠教諭


愛知県立犬山高校

普通科と商業科を持つ。2006年に創立95周年を迎える。名城大学、愛知工業大学などに合格者多数。就職では約40%が事務職なのが特徴。

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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入学前教育では専門科目に関する課題を

■入学前教育は必要か?
 入試では、大学教育を受けるレベルの学力を持った者を選抜するはず。本来、入学前教育は不要だと思う。ただ、現実問題として、推薦入試やAO入試で合格する生徒の学力は多様なので、少しでも均一化させたいという大学側の思いは理解できる。推薦入試・AO入試合格後に勉強しない生徒が多いのも事実なので、学習の継続という点では実施する意味はある。

■どのような面で効果的か?
 推薦入試・AO入試合格者の中には、一般入試に向けて頑張る友達を見て気持ちがぐらつく生徒がいる。合格発表の時期が早いだけに「本当に自分はこの大学で良かったのか?」などと悩む。基礎学力が低く、自分という土台がないために、主体的に進路を選べと言われても、どうしていいか分からない。また、大学卒業後、就職して安定した生活を送るというティピカルな学歴像がないために、学ぶ意欲も薄れている。だから、自信が持てない生徒が多いのだろう。モチベーション持続のために課題を与えたり、レポートを提出させたりすることは有効だ。

■望ましい高大接続の形は?
 進学先の学部の専門科目に関する課題については、意欲的に取り組む生徒が少なくない。専門分野の書籍を読んだり、レポートを書いたりすることでモチベーションが高まるという意味では、高大接続の役割を果たしているともいえる。ただし、大学を選択する時点で、もっと大学で学ぶことの楽しさを知らせることが大切だと思う。「大学にはこんな面白い研究がある」「学問はこんなに役に立つ」と高校生にもっとアピールしてほしい。

図表


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