特集 志望校はこう選ばれている

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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「その学科で何ができるのか分からない」という悩み

 志望校選びにおける学部・学科研究は、以前にも増して重要になりつつある。しかし、高校からは、その学部・学科で何ができるのか、その学科を卒業したらどんな人になれるのかが分かりにくい、という声が聞かれた。
 「教員でも、大学案内や分厚いシラバスから正確な情報を読み取るのは難しい。分かりやすく、効率よく伝わる工夫をしてほしい」(大阪府立布施高校)、「情報は豊富だが、具体的に何を学ぶのかが伝わってこない。授業名だけでは、どういう内容の学部・学科なのか伝わりにくい」(履正社高校)などの意見が挙がった。
 ベネッセ教育研究開発センターの調査(図2)を見ても、教員が大学・短大を勧める上で重視する内容は、「生徒の興味・関心に合った勉強」「学部・学科と希望職業との関係」などだが、教員自身が学科内容を把握できているかといえば、決してそうではない。

図3

 大学からは大学案内やウェブサイトなどで情報がたくさん提供されている。それによって高校生は、必要なものを取捨選択する作業を強いられる。しかし、そこから自分のこととして具体的なイメージを描くのは難しいようだ。
 大学からの情報だけでは分かりにくいため、卒業生などの「生の声」から、より具体的な情報を得ようとする高校が目立つ。よく行われているのは、教育実習の学生に大学生活について話してもらう、立ち寄った卒業生に少し時間をもらって生徒と話してもらう、といった取り組みだ。実体験に基づく話は、生徒にとってリアリティーがあり、自分に置き換えてイメージしやすい。愛知県立一宮高校では、毎年、卒業生による「東大説明会」を開いている。


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