先に、「改行！計画」の背景にある職員の危機感について触れたが、主観的な議論だけでは、組織として課題意識を明確化し、共有することはできない。そこで、広報タスクフォースでの議論を経て、「外から見た文部科学省」に関する調査を行った。
　20歳以上の国民を対象に各省に対するイメージを聞いたところ、文部科学省に良いイメージを持つ人は13.3％と全10省の中で２番目に多く、他省庁と比べ、必ずしも悪いイメージを持たれているわけではないと分かった。しかし、文部科学省に対する具体的なイメージを聞いたところ、「型にはまった」「場当たり的な」「国民の声を反映していない」等の厳しい意見があった（図１）。

　個別の重要施策の認知度は、総じて低い結果となった。「言葉として見聞きしたことのある施策」は、高等教育関係では「国立大学法人化」が37.4％、「21世紀COE」が5.5％だった。
　全国の教育委員会の教育長や教育委員長、小・中・高校および盲・ろう・養護学校の校長・教員を対象としたアンケートでは、文部科学省に対するプラスイメージで「信頼できる」「情報発信力がある」「優秀な人材が多い」が上位に挙がった。マイナスイメージでは、半数が「現場・地域の声を反映していない」と回答し、３割超が「場当たり的な」「型にはまった」と挙げた。遺憾ながら、私たちの不安が裏付けられる結果となった。
　しかし、悲観的な結果ばかりではない。職員一人ひとりに対するイメージは必ずしも悪いものではなく、職員との接触経験のある人ほど、信頼度等が高いということも示された（図２）。職員が、教育関係者と接触する機会を作り、それを大切にすることの重要性を示唆している。組織への信頼は、一期一会の精神と実践を地道に積み重ねることによって築かれるはずである。

　この調査は、初等中等教育関係者を対象としたが、高等教育行政の担当者としても教訓にすべき結果と考える。
　このほか、有識者やマスコミ関係者からは「批判や指摘に揺れ動き、弱い印象」「省としての考えが示されず、何が言いたいのか分からない」「浮き世離れしていて現場感覚がない」といった厳しい意見が寄せられた。