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私立大学だけでなく、国公立大学でも独自の奨学金制度を設けるようになった。依然として、経済的理由から国公立大学を志望する受験生は多いが、奨学金の情報は確実に届いているのか。そして、進路選択にどう影響しているのだろうか。
奨学金の利用者も収入に占める割合も増加 独立行政法人日本学生支援機構が、2004年度に学生の家計について調査した結果を示している。 奨学金を利用する学生の割合は、2年前の2002年度から約10ポイント増えた(1)。
学生の収入の内訳を見ても、奨学金収入は約8万円増え、全体に占める割合は約4ポイント高くなっている(2)。
生活費を奨学金に依存する度合いが高くなる一方で、アルバイトによる収入はわずかだが減っている。生活費は奨学金に頼り、アルバイトの時間をほかのことにあてようとしている学生の姿がうかがえる。 全体のアルバイト従事者の割合に変化はないが、従事者のうち家庭からの給付のみでは修学が困難という人の割合は 7.5 ポイント減っている(3)。
次に、5つの区分に分類された世帯年収別の学生の分布をみてみよう(4)。
年収がおよそ500万〜700万円の中位層(区分2)が減り、その上下の層(区分1、3、4)がそれぞれ増えている。 大学には、このような経済格差の広がり、奨学金への依存度の増大など、学生の生活実態を踏まえた支援策と情報発信が求められている。