つなぐ 高校・大学 第2回 奨学金は学びを支援する制度として大学選択の要因になっているか

小山  茂

茨城県立下妻第一高校
進路指導主事

小山 茂教諭


茨城県立下妻第一高校

茨城県の西部を代表する進学校。毎年、国公立大学に100人以上が合格している。2006年度入試では、国公立大学に134人、私立大学に延べ560人が合格。

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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高校発のオピニオン
高校教員が奨学金制度について自校の現状を踏まえながら語る

公的な奨学金制度の充実に期待

■経済事情で進路を決める生徒は?
 バブル崩壊以降、保護者が解雇されるなど、経済的に苦しい家庭が増えていると感じる。経済面で生徒の相談を受けたときには、日本学生支援機構の奨学金を紹介し「親の世話にならなくても大学に行ける」と説明している。
 経済的に厳しい生徒のほとんどは、日本学生支援機構の予約採用に申し込む。数は少ないが、新聞奨学生制度を利用して進学するケースもある。

■奨学金が大学選びに影響するか?
 大学独自の奨学金制度は、生徒に分かりにくい。そこまで調べていないし、考えていない。行きたい大学だから受けるのであり、奨学金があるから受けるというのは聞いたことがない。自宅から通える大学を選び、家計の負担を軽減しようとする生徒はいる。
 そもそも本校は、国公立志向が極めて強い。ここ数年、私立大学から国公立大学への進路変更も増加傾向にある。その理由の一つは学費の安さだと思うが、それ以上に、将来の目標を優先させて志望校を決めている。

■大学独自の奨学金は充実している?
 大学全入時代を迎え、大学が経営戦略の一つとして奨学金制度を充実させているのは理解できる。それにより助かる生徒もいるはずだ。ただ、それで生徒を引きつけるだけでなく、教育内容の充実や、卒業時の就職・進学のフォローに時間やお金をかけてほしい。
 大学独自の奨学金よりも、公的な奨学金制度を充実させてほしい。例えば、保護者に何かあって経済的に困ったとき、学費などを厚く手当てするような制度だ。公的な制度を中心にして、足りない分は大学が独自に学生を支援してほしい。

図表


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