まず、データから、工学部離れの現状を確認しておこう。
　図１は、学校基本調査を基に、理系の志願者数の推移を示したものだ（学問系統の分類は編集部の基準による）。延べ総志願者数がピークの506万人に達した1992年度、工学系統の志願者数は延べ68万人だった。2006年度は37万人で、45.6％減っている。この間の18歳人口の減少率は35.3％なので、それ以上のペースで工学部離れが進んでいるといえる。総志願者数に占める工学系統の割合は13.4％から10.6％に、理系全体に占める割合は50.9％から32.1％に、それぞれ減少している。
　2006年11月の第３回ベネッセ・駿台マーク模試では、前年同時期の工学部志願者数を100とした指数は、今回、国公立大学で106と持ち直している。しかし、私立大学では91と減少が続いている。
　このような工学部離れの原因を、「理科嫌い」「理科離れ」の延長上に求める見方もあるが、必ずしもそうとはいいきれないようだ。学校基本調査の総志願者数に占める理系分野の割合は、1992年度の26.4％から2006年度は33.0％に拡大している。