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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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【武蔵大学】大学広報誌「武蔵(ムサ)ナビ」

教員との距離が近い家庭的な雰囲気を
手作りの広報誌で伝える

学生の声こそが最大の広報となる――。こうした発想の下、武蔵大学学友会(学生自治組織)が大学広報誌「武蔵(ムサ)ナビ」を創刊したのは、2005年8月のことだ。企画・取材はもちろん、予算管理や配付もすべて学生が行う。その活動はメディアにも取り上げられ、武蔵大学の活力を伝える重要な広報ツールになりつつある。

新入生向け冊子の刷新が、受験生への発信のきっかけ

 2005年9月、武蔵大学の正門に「大学広報誌 武蔵(ムサ)ナビ」と大書され、誌面を紹介した巨大な看板が立てられた。
 「初の試み!」
 「武蔵の深さを実感せよ!!」
 迫力ある呼び掛けに、学生はもちろん、地域住民や大学を訪れる人の多くが注目した。
 「武蔵ナビ」(図1)は、武蔵大学の学友会本部「武蔵ナビ」製作委員会が年1回発行する大学広報誌だ。2005年8月に創刊、2006年7月に第2号を発行した。発行部数はいずれも1万部。オールカラーのタブロイドで8ページと、フリーペーパー感覚で気軽に手に取って読めるものだ。学生の本音や教職員の直筆メッセージなど、学生の視点から学生自身の言葉で大学の実像と魅力を伝えている。

図表

図1 学生の視点が随所に盛り込まれた「武蔵ナビ」。第2号からはQRコードから携帯電話でキャンパス案内の動画にアクセスできるようにした。動画は、製作委員会のブログにリンクしている。毎月のアクセス数は、動画約150件、ブログ約400件

 「武蔵ナビ」創刊のきっかけは、学友会本部が毎年新入生向けに発行するキャンパスライフ紹介誌「むさし」のリニューアルだった。2005年4月に経済学部の当時3年生だった中里泰久さんが学友会長に就任し、「むさし」作製を担当した。「それまでの『むさし』はモノクロページのみで、写真などのビジュアルはまったくなかった。約100ページの誌面は、文字でびっしり埋め尽くされていた。とても新入生が読みたいと思う冊子ではなく、それを変えたかった」と振り返る。
 2005年度版の「むさし」は、A5判からB5判へとサイズを大きくし、新たにカラーページを設けた。新入生に大学をよりリアルにイメージしてもらえるようにと、写真を多用。卒業生へのインタビューや教員紹介など、以前にはなかったコンテンツを盛り込んだ。
 新しい「むさし」に対する新入生の評価は高く、「武蔵大学の魅力を感じられた」「入学前に読みたかった」といった声が届いた。そこで、「むさし」を中里さんの出身高校に送り、全クラスに配付してもらったところ、高校生からも「学生の生の声が伝わってくる」「学生が生き生きとしている」といった感想が寄せられた。
 このような反響を受けて、中里さんは「学生が作る広報誌は、大学案内とは違う情報を発信できるのではないか」と考えた。調べてみると、当時、学生が大学広報誌を手掛けている例はなく、話題性でも読者を引き付けられそうだと考えた。「ゼミでマーケティングを学んでいて、以前から口コミの影響力の強さに関心があった。大学の顧客である私たち学生の声こそが、大学の強力な宣伝材料になると確信を得たことで、『武蔵ナビ』の創刊に踏み切れた」と言う。2005年度は、新入生向け「むさし」リニューアルに続く受験生向け「武蔵ナビ」の創刊で、大忙しとなった。


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