ベネッセ独自の調査・研究に基づく教育情報を発信。学校向け情報誌に掲載している教育動向や学校の実践事例、子どもや教育に関連したさまざまな調査の報告書、調査データなどを公開しています。
高校生は学習にどんな意味を見いだしているのだろうか。図7は、成績観・学力観を尋ねた結果を、学校の偏差値帯別にまとめたものだ。
偏差値50未満の高校では、半数以上の高校生が「将来ふつうに生活するのに困らないくらいの学力があればいい」と答えた。また、「できるだけいい大学に入れるよう、成績を上げたい」と答えた割合が、偏差値50以上の高校に比べて低かった。 偏差値50未満の高校の高校生は、目標を高く設定しない「そこそこ志向」であるようだ。偏差値50以上の高校では逆の現象が見られ、学習意欲の面でも「より上へ」と「そこそこ」の二極化が進んでいるといえそうだ。
「そこそこ志向」は、なぜ多いのか。図8を見ると、「日本は、競争がはげしい社会だ」と75.8%が答えた。一方、「日本は、努力すればむくわれる社会だ」は45.4%、「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」は38.1%だった。高校生は、「いい大学」を卒業しても必ずしも幸せになれないと感じているようだ。学習上の悩み(2ページ図4)においては、「努力しても成績が思うように上がらない」と悩む高校生が年々増えている。 今回の調査結果では、努力が結果に結び付かないという不安を抱え、大学進学や働くことに明確な目的意識を持ちづらい高校生像が浮かび上がった。
●調査主体:ベネッセ教育研究開発センター、●調査テーマ:学習に関する意識・実態調査、●調査方法 学校通しの質問紙による自記式調査、●調査時期:第1回1990年9〜10月、第2回1996年5〜6月、第3回2001年5〜6月、第4回2006年6〜7月 ●調査対象:高校2年生(普通科のみ)、全国4地域〔東京都内、および東北・四国・九州地方の都市部と郡部〕、第1回2005人、第2回2615人、第3回3808人、第4回4464人 ※偏差値は、潟xネッセコーポレーション「進研模試」のデータを使用 ※調査結果の詳細は、当ウェブサイトで公開中。『第4回 学習基本調査・国内調査報告書』