「偏差値50以上55未満の高校と偏差値55以上の高校の、学校外での平均学習時間には2倍近い開きがあり、『学習する者』と『学習しない者』にはっきり分かれていることが表れている」(耳塚教授)
二極化は、学習意欲の面にも表れている(5ページ図7)。偏差値50未満の層に「将来ふつうに生活するのに困らないくらいの学力があればいい」といった「そこそこでよい」と思う価値観の高校生が増えており、「できるだけいい大学に入れるよう、成績を上げたい」と思う偏差値50以上の高校の高校生との二分化が進んでいる。
なぜこのような二極化が起きているのか。耳塚教授は、その要因の一つに「脱受験競争時代の到来」を挙げる。
「少子化を背景に、大学は実質的な収容力が拡大し、大学入試は著しく広き門となった。しかも、AO入試や推薦入試などの様々な入試形態を導入する大学が増え、一般入試を受験しないという選択肢が増えた関係で、大学に入ること自体は難しくなくなった。高校生はこの状況を十分に把握していて、以前のように入試が学習の動機付けになりにくくなっている」
しかし、入試が広き門になったとはいえ、難関大学には、競争に勝ち残らなければ入学できない。いわゆる難関大学への進学者が数多く輩出する偏差値55以上の高校の生徒は、いまだに激しい受験競争にさらされ、入試が学習の動機付けになっているが、偏差値50以上55未満の高校の生徒は易化した大学入試の恩恵を受け、学校外での学習時間が少なくなったのだろう。
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