学校外での学習時間が減った高校生に対し、高校はどのような指導をしているのだろうか。耳塚教授は、宿題を課すことで家庭での学習を促す高校の指導実態を、次のように話す。
「先日、別々の高校で2年生を担当する3人の教員と、今回の調査結果について座談会を行った。どの高校でも家庭学習の習慣化が課題で、自ら机に向かおうとしない生徒をどうやって勉強させるかが悩みだと話していた。各校の取り組みで驚いたのは、『予習』を『宿題』として課していることだ。生徒は予習の中で悩んだという体験をすれば、授業をきちんと聴こうとして確実な理解につながる。教員は、クラス全員が予習をしてくれば、授業をスムーズに進められるという。しかし、予習とはいっても、生徒が自主的にしているのではない。年度当初に予習の仕方を丁寧に指導し、その通りに予習をするように指示したり、教員が作った予習用プリントを宿題として配付したり、と教員が細かく指導している」
高校教員も、本来、自発的な学びであるはずの予習を宿題として課すことに抵抗を感じているという。しかし、放っておけば学習時間は確実に減少し、学力が伸びないという現実に直面して、まずは机に向かわせることが大命題になっている。
「教員も本当は生徒に自ら勉強してほしいのに、手取り足取りの手厚い指導をせざるを得ない。このような矛盾を抱えているのが、高校の現状といえるだろう」と、耳塚教授は話す。
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