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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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ポートフォリオシステムが学生の「気付き」を誘導

 「修学基礎」のねらいは「自学自習ができる生活づくり」だ。「毎日大学に来て、講義に出席し、課題に取り組み、規則正しい生活を送ること」と、藤本教授は言う。それを支援するため、様々な手法を取り入れている。
 例えばシラバスだ。同大学では「学習支援計画書」と呼ぶ。一般に、シラバスには科目ごとにテーマ、内容、成績評価基準などが記載されているものだが、同大学の学習支援計画書は詳細を極める。科目ごとの明細表には、授業の内容と運営方法、提出物、課題、予習・復習の内容とそれに費やす標準時間数などが記されている。また、学生が達成すべき行動目標や成績の評価基準が記載され、授業を通して育成される能力についても「達成度評価」という形で明記されている。

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図表

 学習を支えるツールとして「KITポートフォリオシステム」を活用する(図2)。同大学は様々なポートフォリオを用意しており、いずれも学生自身に個々の取り組みを記録させ、後で振り返らせることで「気付き」を誘導し、反省を促すと同時に次の目標設定につなげさせるという目的で作られている。修学基礎には、その一つである「修学ポートフォリオ」を活用し、記入を義務付けている。
 学生に修学ポートフォリオを有効利用させるために、「修学アドバイザー」と呼ばれる教員が修学基礎のクラスを担当し、ポートフォリオを介したやりとりで学生のスムーズな「適応」を助ける。修学アドバイザーは1〜3の各年次に28人いる。
 学習支援計画書、ポートフォリオシステム、修学アドバイザー制度は、修学基礎教育に特化したものではないが、同大学は、初年次教育にこれらを最大限に活用して効果を挙げている。


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