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Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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1週間の行動を記録させ、きめ細かく学生を指導する

 「修学基礎」の内容は、以下の通りである。
 1年次1期の「修学基礎T」で、学生は「1週間の行動履歴」を記録し、それを授業ごとに修学アドバイザーに提出する。最初は手書きだが、最終的にはウェブ上に入力する。これが「修学ポートフォリオ」になる(図3)。学期末には「回顧と展望」が加わる。2007年度には「学習支援計画書」にある「達成すべき行動目標」をどれくらい達成できたかを、理由も付記して完成させる「今期の達成度自己評価」に進化させた。

図表

 修学アドバイザーは、翌週までに必ず全員の行動履歴に目を通し、コメントを書いて学生に返却する。また、重要な科目を2回続けて欠席した学生がいた場合、修学アドバイザーに報告が届く。修学アドバイザーは欠席した学生に連絡を取り、必要に応じて自宅を訪問し、相談に乗ることもある。1クラス40〜90人の学生を指導するため、修学アドバイザーの負担は相当なものだ。「当初は不満の声もあったが、今では本学の教育理念の実現のために不可欠だとして、全学的に理解が浸透している」(藤本教授)
 「修学基礎T」には、ほかに、学長や学生部長らの講話をレポートにまとめる、学生生活の目標などをテーマにしたグループ討論やプレゼンテーションを行う、などが盛り込まれている。
 2期の「修学基礎U」では、学生は修学基礎Tに引き続き行動履歴を提出する。加えて、所属学科の研究室を複数訪問し、レポートにまとめて発表するという課題が与えられる。専門分野に対するイメージと現実のギャップに「気付かせる」ことがねらいだ。専門基礎に関する教務部長の講話や、学内で行われる「小論文コンテスト」に応募するための論文をまとめさせることで、文章力を育成している。
 3期の「修学基礎V」も、レポートやディスカッション、グループ討論など、修学基礎T・Uとほぼ同じ内容だ。もちろん行動履歴も提出する。年度末となるため、1年間を振り返り、次年度の修学計画を立てる。
 修学アドバイザーは、年に2回以上担当の学生と面談し、修学や生活についてアドバイスをする。面談は適宜行われるが、それらの記録は次年度にその学生を担当する修学アドバイザーに引き継がれ、指導に生かされる。


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