調査分析

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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【Part2】所属大学に感じる校風と、期待、評価、満足度の関係

学生が感じる「校風」と
学生の意識の関連を考える

学生がイメージする校風と、大学への期待や評価に関連性はあるのだろうか。
6タイプのイメージクラスターによる分析から、学生の特徴が見えてきた。

「校風」と学生の期待度、満足度との関係

 2006年に実施した調査の結果分析で、Between編集部は、「元気な」校風だと学生が感じている大学では学生の総合満足度が高いこと、および「元気な」校風とされる大学のポイントは、企業との共同研究や海外留学などの、大学の外の世界との接点に関わる項目を学生が評価していることの2点を報告した。
 そこで、今回の調査では大学の「校風」に着目し、「校風」を表す言葉に対する学生の反応を6つのイメージクラスター(集合体)を利用して集約分析した。これに基づいて、大学への進学動機や入学前の期待度と現在評価との関係を探ってみよう。
 まず、所属する大学の「校風」についてどのように感じるか、キーワードとなる単語を提示して、自分の大学に当てはまるかどうか、学生にそれぞれのキーワードに4段階で回答してもらった。分析に際しては、キーワードを「Familiar」「Casual」「Casual/Modern」「Elegant/Casual」「Elegant」「Chic」の6つのイメージクラスターに集約し、学生の入学動機や大学評価との関連を調べた。

図表

■イメージクラスターの指標
◎Familiar:安らぎ、楽しい、親しみ
◎Casual:自由、遊び、ゆとりのある、開放的
◎Modern:先進的、発展、元気、ダイナミック
◎Elegant:おしゃれ、華やか、上品、高級
◎Chic:まじめ、知的、洗練、文化

 図9は、6つのイメージクラスターごとに、入学した試験の種類を分析した結果だ。
 「Elegant」と感じる大学に「推薦入試・AO入試」で入学した学生の割合が高かった。回答者全体の「推薦入試・AO入試」利用の入学率は24.7%であり、「Elegant」と感じる大学への入学率が37.5%と12.8ポイントも高い。所属大学を「Elegant」と感じる回答者が多い大学は、回答者全体の「一般入試」利用入学率が50.0%であり、全体平均65.3%に比べてかなり低い。「Chic」な大学の一般入試利用入学率も53.0%と全体平均よりも低く、私立大学の場合は「センター試験利用入試」の割合が全体平均の利用入学率が7.4%であるのに対し、「Chic」な大学は18.2%と高い。
 アドミッションポリシーに基づく入学試験制度や試験の種類の採択は、必ずしも校風と直接関連付けて決められるわけではないため、この回答・数値だけでは関係性を明確に示すことはできないが、学生募集広報の今後の展開を考える上で参考にはなるだろう。


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