特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 18/33 前ページ 次ページ

教育の実質を伝える広報を教員が中心になり模索

 武蔵大学は、2007年度よりゼミ学習のさらなる深化をねらい、新たな一歩を踏み出した。経済産業省による「産学連携による社会人基礎力の育成・評価事業」に応募し、全国7大学のうちの1校として採択された。
 このプロジェクトは、経済産業省が「大学で学んだ専門知識を活用して企業等から与えられた実課題を解決していく実践型教育を通じて、実際に学生の社会人基礎力の育成・評価を行い、さらにはその成果を企業に明示する取組を実施する大学」を公募したものだ。高橋教授は、「本学が、ゼミを通して育成してきた実社会での実践力と、経済産業省の示した『社会人基礎力』には重なる領域が多い。このプロジェクトを通し、社会人基礎力の向上を目指すことが、従来のゼミを発展させるきっかけになると考えた」と、応募の理由を説明する。
 加えて、同大学の広報活動が新たな方向に舵を取り始めたことも背景にあるという。2006年6月より、教員4人で構成する学長直属の広報委員会が設置された。委員の1人である人文学部の福間具子専任講師は、「大学名さえ知れ渡ればよいとする広報ではなく、教育現場の最前線にいる教員が中心となり、教育内容をきちんと伝える広報を図るためだ」と、設置の意図を語る。同時に、教員の意識を改革するねらいもあるという。
 「教員は学内を向いて教育を良くすることだけを考える傾向が強く、『どのように外に向けてそれをアピールするか』という視点が欠けていた。その意識に風穴を開けたい」と、福間専任講師はもう一つの目的を話す。
 学外に教育内容を発信する際、一般社会で通用する「共通言語」を用いた方が広まりやすい。それが、同大学の場合は「社会人基礎力」だった。
 「『実社会での実践力を育てる』よりも、『社会人基礎力を育てる』という説明の方が伝わりやすい。それが今回の応募の理由の一つになった」と、福間専任講師は話す。


  PAGE 18/33 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ